日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール
すーぱーぷろふぇっしょなるはいすくーる
Super Professional High School
社会の第一線で活躍する専門的職業人を集中的に育てる専門高等学校。2013年(平成25)、第二次安倍晋三(あべしんぞう)政権が打ち出した成長戦略に設置構想が盛り込まれ、2014年度から文部科学省が指定を始めた。英語の頭文字をとってSPHと略称する。急激な技術革新や社会変化に対応し、農業、商業、工業、情報、水産業、看護、福祉、家庭などの分野で、大学・研究機関・企業などと連携し、高度な知識・技術を身につけた専門的職業人を育てる。通常のカリキュラムにはない先進的で卓越した授業を行い、成果を他の専門高等学校に普及する役割も担っている。全国の専門高等学校を対象に公募・審査し、地域バランスを考慮しながら指定する。支援期間は3年(より高度な内容を学ぶ専攻科がある場合は5年)で、指定校は初年度約800万円、次年度以降約400万円の予算を受けられる。2018度時点で累計48校が指定された。スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールでは、企業や大学・研究機関などと連携し、熟練技術者による技術指導や最先端の研究指導を積極的に受け入れ、長期の就業実習や共同商品開発などを通じて実践的な技術、知識、判断力などを習得する。地場・伝統技術の継承・発展、農林水産業の企業化・活性化、新商品・サービスの開発、最新の貿易実務・貿易英語、IT技術、先端医療・技術に即した看護技術などを担う職業人を育成する。
なお、文部科学省が先進校を指定する制度には、理数教育に重点的に取り組むスーパーサイエンスハイスクール(SSH。2002年度から指定開始)と、国際的なビジネス課題の解決能力をもつ人材を育てるスーパーグローバルハイスクール(SGH。2014年度から指定開始)などがある。2018年度時点でSSHは累計261校(うち57校で指定終了)、SGHは累計123校が指定された。
[矢野 武 2019年1月21日]