セガンティーニ(読み)せがんてぃーに(その他表記)Giovanni Segantini

デジタル大辞泉 「セガンティーニ」の意味・読み・例文・類語

セガンティーニ(Giovanni Segantini)

[1858~1899]イタリア生まれの画家スイス定住アルプス背景に自然と人間との調和を追求、独自の点描法もと象徴主義的な画風を示した。

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精選版 日本国語大辞典 「セガンティーニ」の意味・読み・例文・類語

セガンティーニ

  1. ( Giovanni Segantini ジョバンニ━ ) イタリアの画家。ミラノで学んだ。スイス、イタリアのアルプス地方の牧歌的風景画を多く描く。独自に色彩分割の技法を工夫し、点描風な筆法により、明るい色と固い線描とを結びつけた画面を生み出した。(一八五八‐九九

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セガンティーニ」の意味・わかりやすい解説

セガンティーニ
せがんてぃーに
Giovanni Segantini
(1858―1899)

イタリアの画家。スイスの山岳風景を題材に、人間と自然の澄みきった調和を描いたことで知られる。アルプス山麓(ろく)のアルコに生まれた。5歳のときに母親を亡くし、父親とも別れて、貧困と孤独の幼年時代を送る。短期間ミラノのブレラアカデミーに学んだのち、イタリアのブリアンツァ地方に暮らし、自然主義的傾向の強い絵画を描く。1886年から1894年まで明るい光のあふれたスイスのサボニーノに住み、独自の仕方で『編物をする羊飼いの少女』(1888年。チューリヒ美術館)にみられるような筆触分割(分割主義)の手法を獲得する。芸術に精神的なものを求めた彼は、『生命の天使』(1894年。ミラノ近代美術館)を描いてから象徴主義に向かう。文明の拘束を嫌い、汚れなき自然のうちに、生命の輝きを表現しようと望んだ。また、社会主義思想に共鳴し、芸術論を雑誌に寄稿する。1894年からスイスのマローヤに住んだが、やがて遺作となる『生』『死』『自然』の三部作(サン・モリッツ、セガンティーニ美術館)に取り組む。スイスの高原地帯エンガディンを舞台とするこの三部作は、セガンティーニの理想とした人間の厳しく清浄な生のあり方を伝えている。しかし、彼はこの風景画をサン・モリッツ近くの標高2700メートルのシャーフベルクで制作中、盲腸炎のために41歳で急死した。東京都台東区の国立西洋美術館には『風笛を吹くブリアンツァの男たち』、岡山県倉敷市の大原美術館には『アルプスの真昼』が所蔵される。

[浅野春男]

『松方三郎著『ファブリ世界名画集90 セガンティーニ』(1973・平凡社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「セガンティーニ」の意味・わかりやすい解説

セガンティーニ
Giovanni Segantini
生没年:1858-99

イタリアの画家。アルコ・ディ・トレントArco di Trento生れ。不幸な少年時代をミラノで送り,ブレラ美術学校で学ぶ。当初,ミレーやオランダのイスラエルスJ.Israels,マウフェA.Mauveの影響で自然主義に傾倒し,1886年から住みついたスイスのアルプス地方で,細かい点描を用いて戸外の人々の暮しを描く。90年ころからはしだいに象徴主義に傾き,冷たさを増す色彩と奇妙な輪郭をもった形態によって,大自然に包まれた人間の生と死の神秘を描いた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セガンティーニ」の意味・わかりやすい解説

セガンティーニ
Segantini, Giovanni

[生]1858.1.15. アルコ
[没]1899.9.28. ポントレジーナ
イタリアの画家。ミラノのブレラ美術学校に学ぶ。 1882年コモ近郊のブリアンツァに住み,のちスイスのアルプス山中にこもって短い生涯を終えた。ほとんど独学でアルプスの風景や農民,牧人生活を主題とした作品を制作。初期の作風は写実主義的であったが,やがて新印象主義に近い点描画法を用いてアルプス特有の光の効果を巧みに表現し,清澄な画風を確立。また 90年頃からはしばしば象徴的,神秘的傾向の作品を制作。なおサンモリッツにセガンティーニ美術館がある。主要作品『アルプスの真昼』 (1893,大原美術館) 。

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百科事典マイペディア 「セガンティーニ」の意味・わかりやすい解説

セガンティーニ

イタリアの画家。アルプス南麓のアルコ生れ。幼時に孤児となり,牧童生活を送りながら絵を独学。一時ミラノの美術学校に学んだが,再びアルプス山中に入り,山岳や山村風景を描いて名をなした。晩年は象徴主義的傾向の濃い作品も描いている。絵具をモザイク風に置く,一種の分割描法を用いた丹念な画風が特徴。代表作に3部作《自然》(1899年,サン・モリッツ,セガンティーニ美術館蔵),《悪しき母たち》(1894年,ウィーン,オーストリア美術館蔵)などがある。

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世界大百科事典(旧版)内のセガンティーニの言及

【イタリア美術】より

…この中では彫刻家M.ロッソがロダンに劣らぬ悲劇的な生命力を表現した。フランス印象主義もイタリアではセガンティーニの象徴主義的傾向に変質している。イタリア人は,印象派の純粋な光学的実験には興味をもたなかった。…

※「セガンティーニ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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