日本大百科全書(ニッポニカ) 「セキセイインコ」の意味・わかりやすい解説
セキセイインコ
せきせいいんこ / 背黄青鸚
budgerigar
[学] Melopsittacus undulatus
鳥綱オウム目オウム科の鳥。オーストラリア内陸の砂漠地に大群ですむ。古くから飼い鳥として世界に知られ、籠(かご)内でセキセイインコ用の巣箱によってよく繁殖する。全長約18センチメートル。原種は緑色であるが、黄、オリーブ、白、ライラック、コバルト、青などの羽色をした品種があり、黄色に緑斑(はん)などのぶちや、遺伝的な大形品種などができている。腹面は無斑であるが、背面は黒の横縞(よこじま)をしている。雄は鼻部が青色であるのに対し、雌は黄色なので区別され、それは雌雄間の認知にも役だっている。原産地の砂漠地では水のある所に群れ集まるが、渇きにはよく耐え、実験的にもほかの鳥より水の欠乏に強い生理が立証されている。互いににぎやかに鳴き交わし飛び回るが、性質が温和で集団生活を好むため、広い追い込み籠に多数の個体を飼育することもできる。子飼いのものは、人の手や肩に止まるほどになれ、ときに人語をまねるものもあるが、一般には巧みではない。イギリスの鳥類学者J・グールドが、1840年に初めて飼い鳥として一つがいを母国に輸入し、1855年にドイツで繁殖に成功したとされる。また、黄色の品種は1872年ごろ、おそらくベルギーで作出され、1884年に繁殖に成功した。さらに1940年(昭和15)ごろになってと思われるが、日本でブルーという品種がつくられた。大形品種はとくに頭部と上半身が大きく、イギリスで作出され、日本には1967年(昭和42)ごろから輸入されたという。
飼育の際、餌(えさ)はヒエ、アワ、キビを混ぜ合わせた撒き餌(まきえ)のほか、青菜、ボレイ粉、水を常時与える。産卵は1腹4卵前後で、20日ほどで雛(ひな)がかえる。さらに約1か月たつと雛は巣立ちする。巣立ち後6~9か月で繁殖可能となる。
[黒田長久]