日本大百科全書(ニッポニカ) 「セント・ローレンス川」の意味・わかりやすい解説
セント・ローレンス川
せんとろーれんすがわ
Saint Lawrence
カナダのセント・ローレンス湾に注ぐ北アメリカ主要河川の一つ。五大湖の一つであるオンタリオ湖に源を発し、カナダ、アメリカ合衆国の国境付近を北東に流れている。全長約1200キロメートル。上流は五大湖とつながり、スペリオル湖西端からセント・ローレンス湾まで3780キロメートルにわたる水路を形成する。オンタリオ湖より下流184キロメートルの間はカナダとアメリカ合衆国の国境となっており、カナダ、オンタリオ州のキングストンとブロックビルとの間には、多数の美しい島があることで有名なサウザンド・アイランズがある。川幅は、モントリオールの南西方にあるセント・フランシス湖より下流で広がるが、オタワ川との合流部までの間では部分的に狭窄(きょうさく)部があり、ケベックより下流では感潮河川としてさらに川幅を広げ、河口では幅144キロメートルに達する。沿岸の主要都市としては、カナダ側にキングストン、モントリオール、トロワ・リビエール、ケベックなどがある。かつては毛皮交易、布教のルートであり、現在は北アメリカ東部の重要な内陸水路であるセント・ローレンス水路の一部を構成する。現在の水路はカナダとアメリカ合衆国の共同事業として建設され、1959年から供用が開始された(1974年に改良)。長さ223メートル、喫水7.9メートル、2万7000重量トンの航洋船舶が航行できる。1534年にジャック・カルティエが白人として初めて訪れた。沿岸で初めての居住地は、シャンプレンが1608年に開いたケベックである。
[大竹一彦]