ゼネフェルダー(英語表記)Alois Senefelder

改訂新版 世界大百科事典 「ゼネフェルダー」の意味・わかりやすい解説

ゼネフェルダー
Alois Senefelder
生没年:1771-1834

チェコスロバキアの石版印刷の発明者プラハに生まれ,ドイツ劇作に従事するうち,自作脚本楽譜を安価大量に印刷するため,銅板代りにケルハイム産の石灰石の利用を思いつき,1798年脂肪クレヨンによる平版印刷を完成した。この発明は,新聞・雑誌の挿絵掲載を飛躍的に簡便化し,またリトグラフという芸術の新分野を誕生させた点で重要である。彼はその後,石版用印刷機を考案し,多色刷や亜鉛版印刷も試みている。彼の技法は《石版術全書》(1818)にまとめられた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゼネフェルダー」の意味・わかりやすい解説

ゼネフェルダー
Senefelder, Aloys

[生]1771.11.6. プラハ
[没]1834.2.26. ミュンヘン
ドイツの劇作家,石版術 (リトグラフィー) の発明者。脚本中の版画代が支払えなくて自分で彫刻しようとしたが,銅版画はそれほど成功しなかった。 1796年,洗濯物のリストを石片の上に油性鉛筆で書きとめたことから偶然に石版術を発見。初めは石片の残部を食刻することで浮彫が得られることを利用して,バイエルン産の石灰岩や金属板で実験を重ねた結果,2年後に平版印刷術に成功,1818年『石版印刷術完全教本』 Vollständiges Lehrbuch der Steindruckereyを著わして,その発見を記述した。後年,音楽出版業者 J. A.アンドレの提供を受けてオフェンバハに居を移し,石版術を人々に伝授した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のゼネフェルダーの言及

【印刷】より

…ここで凸版印刷の大宗である活版印刷の方法が確立し,500年にわたる文字印刷を築きあげた。 1798年,ドイツのA.ゼネフェルダーは,ゾルンホーフェン地方に産する大理石の1種を加工して凸版を作り楽譜印刷を試みたが,凸版形式にせずとも化学的な方法により印刷版を作ることを発明,石版印刷を完成した。多孔質である石の面に脂肪に感ずる画像部分を作り,同じ平面でありながら,脂肪性印刷インキのつくところとつかないところを作って印刷を行う平版版式である。…

【平版】より

…印刷,版画に用いる版の一種。凸版凹版に対して版面に明らかな凹凸の認められないものをいう。インキを画線(模様や文字の部分)にのみ付着させる手段として,水と油脂(インキ)が互いに反発する性質を利用し,非画線を水または水溶液で湿し,この水の皮膜によって油脂性の印刷インキが付着しないようにしている。 平版は1798年ドイツのA.ゼーネフェルダーによって石版石石灰岩を版材に用いた石版(リトグラフ)として発明された。…

※「ゼネフェルダー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android