日本大百科全書(ニッポニカ) 「タチツボスミレ」の意味・わかりやすい解説
タチツボスミレ
たちつぼすみれ / 立坪菫
[学] Viola grypoceras A.Gray
スミレ科(APG分類:スミレ科)の多年草。根茎は堅く、密に節がある。地上茎は花期には数センチメートルしかないものが多いが、のちには斜め上に伸び、30センチメートルほどになるものもある。葉は心臓形で縁(へり)に低い鋸歯(きょし)がある。果実期の茎葉はやや先が細長い。葉柄があり、基部に細くて深裂する一対の托葉(たくよう)がある。4~5月、径約2.5センチメートルの淡紫色の花を開く。側弁内は無毛。唇弁の距(きょ)は長さ6~8ミリメートル。日本各地の林縁や明るい林下に生え、形態や花色に変異が多い。朝鮮半島南部、台湾、中国にも分布する。中部地方以西の本州の山地には、葉の長さと幅が約1センチメートルの変種コタチツボスミレが分布する。
[橋本 保 2020年7月21日]