地下で,流動しやすい岩石や地層がその上方にある流動しにくい岩石や地層を押し上げながらその中へ塑性的にしぼりだされるように貫入して形成される円頂丘状の地質構造で,このような現象をダイアピリズムdiapirismという。岩塩ドームの例が最も有名である。岩塩ドームの形成が浮力に基づくものであることを初めて指摘したのは,スウェーデンの化学者S.A.アレニウスであった。地下のある深さ以上のところでは,砕屑岩の密度は岩塩の密度より大きくなることがある。そのため岩塩層が砕屑岩層の下方にある場合には,高密度層より下方に低密度層が存在することになり,重力的に不安定な状態が発生する。両者の密度差によって生ずる浮力,すなわち岩塩層の上面および下面に作用する岩圧の差が,一定の値に達すると岩塩が上方へ流動しはじめ,ダイアピルとしての岩塩ドームが形成されるようになる。ドイツ北西部やメキシコ湾地域には大規模なものが発達し,直径数km,高さ十数kmに及ぶものがある。特にメキシコ湾地域のものは油田の形成と関係して重要な構造となっている。岩塩ドームの外形は,成長の初期段階を示す岩塩枕salt pillowといわれるものから,きのこ状に成長した岩塩プラグsalt plugや,長くつらなった岩塩壁salt wallなど多様なものがあり,その内部は岩塩の塑性流動の結果,きわめて複雑な構造となっている。岩塩ドーム以外のダイアピルとしては,ケツ岩ダイアピルshale diapir,花コウ岩ダイアピルgranite diapir,片麻岩ドームgneiss domeなどがあり,いずれも地殻中に発生する密度の逆転によって形成されるものと考えられている。また,大規模な地殻運動の原因として,下方から地殻の下底を突き上げるマントルダイアピルmantle diapirの役割を強調する考えもある。
執筆者:植村 武
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
diapir
地下からの注入作用によって生じた地質構造。地殻中で周囲の岩石よりも比重が小さく塑性流動をしやすい物質が上位の岩層の割れ目に沿って上昇し,しばしばこれを押し上げてできるドーム状の構造をつくる。このドームをピアスメント構造ともいう。最もよく知られている例は岩塩層の流動注入によって生ずる褶曲構造。本来はこのようにしてできる褶曲構造を指し,ダイアピル褶曲(diapir fold)と同義。近年では地下深部から流動物質が上昇してできる構造全般に対して,また,その過程に対しても使う(例えば泥岩ダイアピル)。一方,その過程に対してはdiapirismという用語もある。花崗岩質マグマの貫入によって生じたバソリスないし岩株も,しばしばダイアピルの構造を示す。
執筆者:小島 丈児・公文 富士夫
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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