岩塩ドーム(読み)がんえんどーむ(英語表記)salt dome

日本大百科全書(ニッポニカ) 「岩塩ドーム」の意味・わかりやすい解説

岩塩ドーム
がんえんどーむ
salt dome

地下の岩塩層が上部堆積(たいせき)層に貫入してつくられたドーム構造。岩塩ドームは地下5000メートルから1万メートル以上の深さから上昇したものもあり、ドームの直径は1キロメートルから、なかには2キロメートルを超すものがある。

 岩塩層の上に堆積した地層は、初めは間隙(かんげき)率が大きいため岩塩より密度が低いのだが、地層の圧密によって密度は岩塩よりも高くなっていく。そうなると軽い岩塩層の上に重い地層がのるため重力的に不安定になり、地下深所のような封圧の高いところで著しく可塑性を増した岩塩層が上位層を持ち上げ、ついには貫入することによって、岩塩ドームが形成される。岩塩ドームは、岩塩、カリウムなどの鉱床として採掘されるだけでなく、ドーム上部や周辺の地層に石油が貯留していることもあるため、資源・経済的価値が大きい。

[伊藤谷生・村田明広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岩塩ドーム」の意味・わかりやすい解説

岩塩ドーム
がんえんドーム
salt dome

岩塩丘ともいう。地下深所に堆積した岩塩層が,その上に堆積した泥層や砂層などの重圧で,上部の地層の弱い部分に岩栓状に上昇してできたドーム状の地質構造アメリカのルイジアナ州メキシコ湾岸には多数の岩塩ドームが発達する。表面地形に明瞭に現れるものはまれで,ときには岩塩ドームは石油鉱床を形成する。断面積2~3km2以下が多い。

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