ダイゼンホーファー(読み)だいぜんほーふぁー(その他表記)Johann Deisenhofer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイゼンホーファー」の意味・わかりやすい解説

ダイゼンホーファー
だいぜんほーふぁー
Johann Deisenhofer
(1943― )

ドイツの化学者。バイエルン州ツザムアルトハイムに生まれる。ミュンヘン工科大学で物理学および生物物理学を学び、1971年マックス・プランク研究所(1972年にマックス・プランク生化学研究所に改称)の大学院生となり、1974年同研究所で博士号を取得した。その後1987年まで同研究所の研究員として勤務したが、1988年に渡米、テキサス大学サウスウェスタン医学センターの生化学教授およびハワード・ヒューズ医学研究所の研究員となった。

 ダイゼンホーファーは、マックス・プランク研究所でフーバーのもと、トリプシン抑制物質などタンパク質の結晶学的研究を行っていた。やがてフーバーと共同で、タンパク質の結晶構造研究を進めるようになり、コンピュータを利用した結晶学研究に習熟した。1982年に同じ研究所のミヘル光合成細菌から光合成反応中心物質の結晶化に成功すると、ダイゼンホーファーはその物質の分子の三次元構造の解明に取り組み、成功を収めた。なお、この研究には日本からの留学研究者三木邦夫(1952― )も参加している。この業績により、1988年にダイゼンホーファーは、フーバー、ミヘルとともにノーベル化学賞受賞した。

[編集部]

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化学辞典 第2版 「ダイゼンホーファー」の解説

ダイゼンホーファー
ダイゼンホーファー
Deisenhofer, Johann

ドイツの生化学者.ミュンヘン工科大学で固体物理学を学ぶ.卒業後,マックス・プランク協会生化学研究所のR. Huber(フーバー)のもとで,ウシの膵臓トリプシン阻害剤の結晶学的研究を行い,1974年博士号を取得.その後,同研究所所員となり,骨髄腫タンパク質やFcフラグメントなどの構造を研究した.1987年に渡米し,テキサス州のハワードヒューズ医学研究所に移る.1982年H. Michel(ミヘル)が光合成細菌Rhodopseudomonas viridisから単離した光合成反応中心複合体(膜タンパク質の一種)の構造を,Huberや大阪大学の三木邦夫らとともにX線回折を用いて解析し,その三次元構造を決定した(1982~1985年).これにより,光合成における光エネルギー変換の機構が明らかとなった.1988年Michel,Huberとともにノーベル化学賞を受賞した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダイゼンホーファー」の意味・わかりやすい解説

ダイゼンホーファー
Deisenhofer, Johann

[生]1943.9.30. ツーザームアルトハイム
ドイツの生化学者。 1974年にマックス・プランク研究所生化学研究所で博士号を取得。 87年アメリカ,テキサス州のハワードヒューズ研究所に移る。 H.ミヒェル,R.フーバーとともに光合成細菌の光合成反応中心の立体構造を解明した。 1982~85年に光合成反応中心の蛋白質の結晶にX線を当てるX線回折の手法により1万個以上の原子の構成を正確に決定,3人の研究は光合成反応の機構研究を前進させた。 88年ノーベル化学賞を受賞。

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