日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイナミックレンジ」の意味・わかりやすい解説
ダイナミックレンジ
だいなみっくれんじ
dynamic range
音響信号を伝送したり録音したりする系において取り扱う最強音と最弱音との比をデシベルで表したもの。デシベルとは任意の二つの量の大小関係を相対的に示す表現法の一つで、音圧または電圧の比較の場合は、二つの量の比の常用対数を20倍したもので示される。ある系が取り扱うことのできる最強音は増幅器のひずみなどで制約され、また最弱音はさまざまな雑音によって制約される。演奏会場におけるオーケストラのダイナミックレンジは80~90デシベルに及ぶ。録音された音では、在来のディスクレコードでの限界が65デシベル、テープでの限界が75デシベルと考えられるが、一般の商品ではいろいろな理由から、ディスクレコードで40~50デシベル、テープレコードで50~60デシベル程度となっている。最近のデジタル録音では、ディスク、テープとも90デシベル程度のダイナミックレンジを得ることができ、オーケストラのもつダイナミックレンジを十分取り扱うことができるようになった。
[吉川昭吉郎]