ダイミョウセセリ(読み)だいみょうせせり

改訂新版 世界大百科事典 「ダイミョウセセリ」の意味・わかりやすい解説

ダイミョウセセリ
Daimio tethys

鱗翅目セセリチョウ科の昆虫。翅の地色黒色で,前翅に白紋があり,この白紋が大名の着る裃(かみしも)の紋のように見えるところからこの名がつけられたともいわれている。開張3.5~4.2cm。分布はミャンマー,中国から朝鮮半島を経て日本に及び,日本では北海道南部から本州,四国,九州にかけて分布する。低山地に見られ,年2~3回の発生。成虫は4月中旬から10月中旬ころまで見られ,森林の周辺や疎林の内部にすむ。葉上に翅を開いて止まり,雄はその周辺になわばりをつくる。驚くと葉の裏に翅を開いたまま止まることがある。ウツギ,オカトラノオ,ツルボなどいろいろな花に集まる。雌はヤマノイモ,オニドコロなどヤマノイモ科植物の葉裏に翅を開いたまま1個ずつ卵を産みつけるが,卵に自分の体毛を塗りつけて覆い隠す習性がある。幼虫は食草の表面に葉片を重ねて簡単な巣をつくり,その中に潜む。後に巣を袋状につづり,その中で越冬する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダイミョウセセリ」の意味・わかりやすい解説

ダイミョウセセリ
だいみょうせせり / 大名挵蝶
[学] Daimio tethys

昆虫綱鱗翅(りんし)目セセリチョウ科に属するチョウ。北海道渡島(おしま)半島以南の日本本土(九州まで)に分布するが、種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)以南の南西諸島には産しない。国外では朝鮮半島、中国、台湾、ミャンマー(ビルマ)北部などに分布する。はねの開張35ミリメートル内外。はねの表は地色黒色、前ばねには白色半透明の数個の白斑(はくはん)があり、また関西地方から四国、九州に産するものは後ろばねに白帯が現れる。この白帯の現れるものを関西型、この白帯のないもの(現れても痕跡(こんせき)的なもの)を関東型という。関東地方の平地およびそれ以南の暖地では年3回の発生(5月、7月上旬から中旬、8月中旬から下旬)、山地および以北の地域では年2回の発生にとどまる。林地のチョウで、渓流沿いの山道路傍などに多く、好んで緑葉上に止まるが、その場合はチャマダラセセリ亜科の通性としてはねを水平に広げる。幼虫の食草はヤマノイモ、オニドコロ、ツクネイモなどのヤマノイモ科植物で、幼虫は葉を巻き、あるいは綴(つづ)ってその中に潜んでいる。幼虫態で冬を越す。

白水 隆]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダイミョウセセリ」の意味・わかりやすい解説

ダイミョウセセリ
Daimio tethys

鱗翅目セセリチョウ科。前翅長 17mm内外。翅は黒色で,前翅に白色斑がある。後翅は,中部地方以北のものは黒一色,関西地方以西のものには白色帯があり,別亜種とされるが,中間域があり,両者の差は不明瞭である。幼虫はヤマノイモなどの葉を食べる。成虫は5月頃から出現し,年2~3回発生する。飛翔セセリチョウのなかではゆるやかで,葉上などに翅を広げて止る。普通種で,北海道,本州,四国,九州,朝鮮,シベリア,中国,台湾,ミャンマー北部などに分布する。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「ダイミョウセセリ」の解説

ダイミョウセセリ
学名:Daimio tethys

種名 / ダイミョウセセリ
目名科名 / チョウ目|セセリチョウ科
解説 / 近畿地方以西では、後ろばねに太い白帯があります。
体の大きさ / (前ばねの長さ)16~19mm
分布 / 北海道南部~九州
成虫出現期 / 5~9月
幼虫の食べ物 / ヤマノイモなど

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百科事典マイペディア 「ダイミョウセセリ」の意味・わかりやすい解説

ダイミョウセセリ

鱗翅(りんし)目セセリチョウ科の1種。開張35mm内外,黒色で前翅に白斑がある。北海道を除く日本各地,朝鮮,中国,台湾などに分布。幼虫はヤマノイモなどの葉を食べる。成虫は年3回発生し,幼虫で越冬。

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