日本のデジタルテレビジョン放送に付随する、放送コンテンツ(放送内容)の複製防止機能の一種。コピーする回数を1回限りに制限するコピーワンスの厳しい制限を緩和して、外部の記録媒体へのコピーを9回まで認め、1回のムーブ(移動)とあわせて10回のダビングを可能としたもの。ダビングテンとも表記される。
デジタルテレビジョン放送では、コンテンツのコピーを行っても品質劣化を生じないため、コピーしたコンテンツを著作権者の許諾なしに非正規に流通させるなど、望ましくない行為が行われる可能性がある。このような行為を防止する対策として、2004年(平成16)4月に、すべてのデジタルテレビジョン放送にコピーワンス機能が付加された。しかし、コピーワンスは著作権保護に有用である反面、利用者には規制が厳しすぎるという批判が出たことから、著作権者と録画機器メーカーとの間で改善策について話し合いが行われ、コピーワンス規制の緩和暫定策として、2008年7月からダビング10の運用が開始された。
ダビング10においても、コピーワンスの場合と同様、1世代だけコピー可という制御を行っているが、コピーワンスでは受信したデジタル放送コンテンツを録画機器内蔵HDD(ハードディスクドライブ)に記録した時点を1世代目のコピーとするのに対し、ダビング10ではHDD記録はコピーとみなさず、DVD-R(1回限り録画可能の書き込み用DVD)やBD-R(1回限り録画可能の書き込み用ブルーレイディスク:BD)などの外部媒体にコピーした時点を1世代目のコピーとしている。こうすることで、外部媒体への1世代目のコピー9回、それに10回目のムーブをあわせて10回のダビングを可能としている。コピーやムーブでコンテンツを記録したDVD-RやBD-Rから、2世代目のコピーをつくることが禁じられている点は、コピーワンスの場合と同様である。
ダビング10を使えるようにするには、放送局側がこれに対応する制限信号を加えた放送番組を放送し、受信側でも対応した受信録画機器を備えることが必要である。受信側では、制限信号を解読するためのカード(B-CAS(ビーキャス)カード)を挿入して使用する。
ダビング10はコピーワンスに比べてコピー規制が緩和されているとはいえ、権利者優先の本質は変わらず、デジタルテレビジョン放送において、このような規制を設けているのは、世界中で日本だけである。
ダビング10は、NHK(日本放送協会)、民放各社の地上デジタル放送、BSデジタル放送で使われているが、2015年時点でBSデジタルの有料放送や、ほとんどのCSデジタル放送は、コピーワンスのままである。「コピーワンス」の詳細については、別項目を参照されたい。
[吉川昭吉郎 2016年4月18日]
(隈元信一 朝日新聞記者 / 2008年)
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