ダーウィンフィンチ(その他表記)Darwin's finch
Galapagos finch

デジタル大辞泉 「ダーウィンフィンチ」の意味・読み・例文・類語

ダーウィン‐フィンチ(Darwin's finch)

スズメ目ホオジロ科に属する小鳥ガラパゴス諸島およびココ島に14種ほどが分布する。島ごとに著しい変化があり、ゾウガメとともに、ダーウィン進化論を築くための重要な材料となった。

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改訂新版 世界大百科事典 「ダーウィンフィンチ」の意味・わかりやすい解説

ダーウィンフィンチ
Darwin's finch
Galapagos finch

スズメ目ホオジロ科のうちガラパゴス諸島およびその北方にあるココス島特産の数属の鳥の総称。全長9~14cm。スズメ大のものが多い。羽色はいずれも灰褐色やくすんだ黒っぽい目だたない色をしている。14種が知られている。C.ダーウィンがビーグル号で世界周航の旅のおり,ガラパゴス諸島を訪れて発見したもので,種の可変性を説く彼の進化論の重要なよりどころとなった。これらの一連の鳥たちは形態・行動習性などにかなりの種間差が見当たるにもかかわらず,相互の類縁関係は明らかであり,とくに食物の違いによって変化しやすいくちばしの大きさや形に顕著な違いができている。このことから,ダーウィンは,中央アメリカか南アメリカから偶然にたどりついた祖先が,競争種のいない新しい島々で,それぞれの島やすみ場所に長い間過ごしたために,環境の違いに適応して多様な生活様式を展開し,もっとも変わりやすい形質や行動に変化が現れ,種の違いのレベルにまで達したと考えた(適応放散)。そのため種数が少ないにもかかわらず,著しく多様化しているグループである。ジフィンチ類(英名ground finch。Geospiza属)は地上で小粒の種子をついばんで食べるもので,くちばしは類似した食性をもつヒワ類に似ている。サボテンフィンチG.scandensはくちばしがやや長くなり,下方に湾曲して,舌の先は裂けている。サボテンの花から胚珠を掘り出して食べる。ウォーブラーフィンチCerthidea olivaceaは小さい昆虫を食べる習性をもっており,先が細くとがったムシクイ類に似たくちばしをもっている。

 なお,キツツキフィンチCamarhynchus pallidus(英名woodpecker finch)はサボテンのとげをようじがわりに使って木の枝の割れ目の奥のほうにいる虫をさぐり出す行動をとり,道具を使う鳥として有名である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダーウィンフィンチ」の意味・わかりやすい解説

ダーウィンフィンチ
だーうぃんふぃんち
Darwin's finch

鳥綱スズメ目ホオジロ科に属するダーウィンフィンチ属Camarhynchus6種、ガラパゴスフィンチGeospiza6種、ムシクイフィンチ属Certhidea1種、ココスフィンチ属Pinaroloxias1種、計14種の鳥の総称。これらは、ガラパゴス諸島とココス諸島にすむ本来は嘴(くちばし)の形や体形、色彩などの点で相互に近縁のフィンチ類が、主として穀食や昆虫食などの食物の食べ分けにより同一系統から種々の嘴に進化した鳥で、イギリスの進化論者C・R・ダーウィンがその進化論の重要な材料としたことで有名で名の由来となっている。適応放散の典型的実例とみられ、なかには小枝やサボテンの刺(とげ)を道具に使って昆虫などを食べる種がいることでも知られる。この類にはガラパゴスフィンチの別名もあるが、そのうちの1種ココスフィンチはガラパゴス諸島には分布していないので、類の厳密な名称としてはダーウィンフィンチのほうが適切である。

[坂根 干]


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