日本大百科全書(ニッポニカ) 「チェイン」の意味・わかりやすい解説
チェイン
ちぇいん
Sir Ernst Boris Chain
(1906―1979)
イギリスの生化学者。1945年A・フレミング、H・W・フローリーとともに、ペニシリンの研究でノーベル医学生理学賞を受けた。父ミカエルMichael(?―1919)がロシアからベルリンに亡命し、化学工場を経営していたとき、ベルリンに生まれたが、1933年、ナチの迫害を逃れて、イギリスに帰化した。ケンブリッジ、オックスフォード両大学で、微生物や癌(がん)の生化学、リゾチームの研究に従事、とくに、フレミングが発見したアオカビの培養液中にある抗菌性の物質(後のペニシリン)に興味をもち、その化学構造や作用機作の解明に尽くした。1964年から1973年までロンドン大学教授。1976年(昭和51)来日。
[梅田敏郎]