チダケサシ(読み)ちだけさし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チダケサシ」の意味・わかりやすい解説

チダケサシ
ちだけさし
[学] Astilbe microphylla Knoll

ユキノシタ科(APG分類:ユキノシタ科)の多年草。根茎は太く、斜め上に伸びる。葉は2~3回羽状複葉で、柄は長く、小葉は楕円(だえん)形から倒卵形で、長さ2~4センチメートル、幅1~2センチメートル。縁(へり)にやや不ぞろいで深く切れ込む鋸歯(きょし)があり、先端は丸みを帯び、尾状とならない。7~8月、40~80センチメートルの花茎を直立し、花茎の上部に短い側枝をややまばらに出し、多数の淡紅色花をつける。花軸には淡褐色腺毛(せんもう)が密生し、触るとやや粘着する。花弁は5枚、線状さじ形で、長さ3~5ミリメートル、雄しべは10本で、花弁より短い。子房は上位で2心皮からなり、花柱は2本。山地草原や明るい林床などに生え、本州から九州に分布する。茎がじょうぶで、山民がチダケ(キノコ一種チチタケの意味)をとった際、これに刺して持ち帰ったので、この名があるという。

[若林三千男 2020年3月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チダケサシ」の意味・わかりやすい解説

チダケサシ(乳茸刺)
チダケサシ
Astilbe microphylla

ユキノシタ科の多年草で,日本の温帯から暖帯のやや湿った山野草地に普通に生える。葉は2~4回羽状に分れ,まばらに毛を生じる。夏に,茎の上部に細長い円錐花序をなして淡紅色または白色の小花を多数つける。花序の軸には短い腺毛が密生する。和名は長野県の山地ではチダケ (ハツタケに似たキノコの1種) をこの草の茎に刺して持帰ることによる。

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