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西夏語 せいかごSihia language

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

西夏語
せいかご
Sihia language

11世紀前半から約 200年間,寧夏の地方に勢力を広げ,西夏王国を興したチベット系タングート族の言語。現在は死語チベット=ビルマ語族のビルマ=ロロ語派に属し,そのなかでも特にロロ語モソ語と関係が深いといわれる。漢字を模倣してつくられた独特の表意文字をもち,現在知られている 6000字余のうち2分の1ほどは音価が推定されている。

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百科事典マイペディアの解説

西夏語【せいかご】

11世紀から13世紀に西夏を建てたタングートに使用された言語。近年西夏文字の解読が進み,その特徴が明らかになってきた。チベット・ビルマ語派に属し,イ(彝)語,ナシ語と近い関係にあると考えられている。
→関連項目ネフスキー

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世界大百科事典 第2版の解説

せいかご【西夏語 Sihia】

11世紀初めから13世紀前半まで,現在の中国甘粛省と内モンゴル(蒙古)自治区の西方地域に建てられた西夏の国語で,チベット・ビルマ語派ロロ・ビルマ語群に属する死語。西夏文字によって記録された多量の資料が残っている。近年,研究は大いに進展して西夏語の言語構造はほぼ復元された。音韻組織は,西夏人の作った韻書,韻図の枠組みと反切(発音表示)を基盤に,チベット文字や漢字による表音資料を利用して確実に復元できる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

西夏語
せいかご

チベット・ビルマ語派のロロ・ビルマ語群に属する死語の一つ。西夏国の公用言語であり、西夏文字によって書き表された。11世紀初めごろから記録され、15世紀ごろ以降に死語となった。いまでは音韻体系も文法体系もほぼ確実に再構成できるため、比較言語学的研究も進んでいる。言語名としてはミ語とよぶほうがよく、現在、中国四川(しせん)省の康定(こうてい)付近で話されるミ・ニャック語がもっとも近い言語と考えられる。中国の音韻学の影響のもとに、西夏の学者は韻書や韻図をつくり、西夏語の発音を反切(はんせつ)によって表記した。音節初頭の単純子音は37種類あり、声調は2種類で、平声(へいせい)97韻、上声(じょうせい)86韻を弁別したが、両方を組み合わせると105韻になる。文の構成員は、日本語のように、主語―目的語―述語の順に並べられ、5種類の格助詞が使われた。主格は、tah、属格はyeh、於格(おかく)はγahなど。限定詞は被限定詞の前に置かれるが(三宝→三・宝)、形容詞は名詞のあとにつけられることが多い(白露→露・白い)。動詞の文法機能は接頭辞と助動詞によって表現された。また、動詞に接尾詞を加えて名詞を構成する方法(toh 孔を掘る→toh-sih 孔を掘るもの)があり、動詞のあとにphihをつけて使役態を構成した。w(平声)肩とw(上声)かたぐなど声調の対立によって、名詞と動詞を弁別する手順もあった。ロロ・ビルマ語系語彙(ごい)と羌(チイヤン)語系の語彙が中心であったが、漢語からの借用語も多く含まれていた。西夏訳仏典では、漢訳やチベット訳から直訳した仏教用語が特徴的で、その訳語から原典の言語を判定できるほどである。[西田龍雄]
『西田龍雄著『西夏語の研究』上下(1964、66・座右宝刊行会) ▽西田龍雄著『西夏文華厳経』全3巻(1975~77・京都大学文学部) ▽西田龍雄著『訳語の研究』(1980・松香堂)』

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世界大百科事典内の西夏語の言及

【西夏】より


[文化]
 李元昊は西夏文字の創造に独立意識を燃やし,この文字を公布した広運3年(1036)を記念して,年号を大慶元年と改めた。以後,西夏国の公用語は,おそらくそれまで使われた漢語に替わって西夏語となり,公用文字は西夏文字に定められた。西夏政府は西夏語を整理し,西夏文字を普及すべく,語彙を分類した辞典と,音韻組織に従って文字を配列し,意味の注をつけた字書の2系統の書物を作って公刊した。…

【ロロ・ビルマ語群】より

…シナ・チベット語族のチベット・ビルマ語派に属する言語群で,ビルマ語イ(彝)語(ロロ語),リス語,ラフ語,アカ語,ナシ語(モソ語),西夏語,カチン語,ヌン語,ピュー語などが含まれる。ビルマ語に最も近い言語としてはマル,ラシ,アツィ,アチャン,ポン,マルマの諸言語がある。…

※「西夏語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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