チャラン(その他表記)Chloranthus spicatus (Thunb.) Makino

改訂新版 世界大百科事典 「チャラン」の意味・わかりやすい解説

チャラン (茶蘭)
Chloranthus spicatus (Thunb.) Makino

センリョウ科常緑低木で,高さ50cm余の株状に生育する。無毛で托葉がつき,葉がセンリョウより鈍鋸歯で,やや鈍頭である。茎端に円錐花序状に穂状花序を集め,花はおしべ3本が1本のめしべに合着し,芳香がある。果実は液果で,白く熟し,1個の種子を有する。中国南部から東南アジアの暖地に分布し,日本では観賞用として鉢栽培して温室で育てる。中国では茎や根から芳香油をとり,花の香りを楽しむために古くから栽培されていた。近年では観葉物としても栽培される。栽培は腐植質の多い適湿を保つような土に植え,繁殖株分け挿木による。関東地方では室内でも十分に越冬し,日陰に耐える。ときに切花として利用される。葉は茶に似るが,茶の代用にはならない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャラン」の意味・わかりやすい解説

チャラン
ちゃらん / 茶蘭
[学] Chloranthus spicatus (Thunb.) Makino

センリョウ科(APG分類:センリョウ科)の常緑低木。高さ30~60センチメートル。葉は単葉で対生し、小さな托葉(たくよう)がある。花序は穂状、多くは頂生する。花は黄緑色両性で小さく、花被(かひ)を欠く。雄しべは3本で下部は合生し、子房背面に合着して雌しべを取り囲む。中国南部原産で観賞用に栽培される。花に芳香があるので、中国では茶葉にこの花を混ぜる。チャラン属は東アジアの温帯から熱帯に十数種分布する。

[大森雄治 2018年7月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャラン」の意味・わかりやすい解説

チャラン(茶蘭)
チャラン
Chloranthus spicatus

センリョウ科の常緑の小低木。南西諸島から中国南部,マレー半島などの原産で,江戸時代に日本に伝えられた。茎は緑色でやや軟らかく,ふくれた節をもつ。葉はややチャに似て楕円形で波状の鋸歯をもち,葉質は厚く暗緑色で光沢があり,対生する。初夏に,茎頂で2~3分枝し,円錐状の複穂状花序をなして黄色の小花を多数つける。花は無花被であるが香りがよい。観賞用として栽培される。和名は葉がチャに似ていることによる。

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世界大百科事典(旧版)内のチャランの言及

【ヒトリシズカ】より

…日本全土,朝鮮,中国に分布する。 チャラン属Chloranthusは東アジアに十数種知られる。日本には,中国原産で常緑低木のチャランが栽培される。…

※「チャラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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