チリグモ(その他表記)Oecobius annulipes

改訂新版 世界大百科事典 「チリグモ」の意味・わかりやすい解説

チリグモ
Oecobius annulipes

チリグモ科のクモ。家の中の壁,天井,窓枠の隅や庭の石灯籠,周囲の塀,樹木のへこみなどに4mmから1cmの小さな天幕状の網と数本の糸を張り,その下に潜む。世界の温帯・熱帯地域に広く分布し,日本では本州四国九州南西諸島に分布している。体長2~3mm。ちりとまちがえられるほど小さいのでこの名がある。頭胸部白色または灰白色で,周辺部には褐色の縁どりがある。また眼の周囲より背甲中央にかけて褐色の斑紋がある。腹部は白色または灰白色の鱗状斑を有し,中央部から周辺にかけて数個の黒色斑が見られる。歩脚は白色で全脚ともほぼ同長。カ,チョウバエ,シミなどの小型の昆虫が網にかかるか,または近くを通り糸に触れると,とび出してきて糸を巻きつけて捕食する。産卵期は6~7月で,網の近くに産室をつくり,2~6個の卵囊をつくる。チリグモ科Oecobiidaeのクモは世界から約60種が知られている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チリグモ」の意味・わかりやすい解説

チリグモ
ちりぐも / 塵蜘蛛
[学] Oecobius annulipes

節足動物門クモ形綱真正クモ目チリグモ科に属するクモ。体長2.5ミリメートルほどで、天井の桟のきわ、板の継ぎ目などに直径4、5ミリメートルの白色で扁平(へんぺい)の幕のような網をつくってその中に潜むが、はい出して室内を歩行することも多い。獲物をみつけると、その周りを回りながら糸でぐるぐる巻き付ける。世界に広く分布し、日本では、本州、四国、九州、南西諸島の家屋内にみられるが、本州では北部中部にはいない。ヒラタグモと形が似ているので、ヒラタグモ科として扱われることもある。

[八木沼健夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チリグモ」の意味・わかりやすい解説

チリグモ
Oecobius annulipes

クモ綱クモ目チリグモ科。体長 2.5mmほどの微小種。体は灰白色で,腹背には多数の白色斑と数個の褐色斑がある。頭胸部,腹部ともやや幅広い。屋内性で,天井の隅,板の継ぎ目などに直径 5mmほどの白色の住居をつくる。世界に広く分布する。なおチリグモ科 Oecobiidaeは8個の単眼集団をなし,後列中央の眼が正三角形である。日本産は1属2種が知られている。 (→クモ類 )

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