日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
テキサス・インスツルメンツ
てきさすいんすつるめんつ
Texas Instruments Inc.
アメリカ最大の半導体メーカー。略称はTI。1938年、石油鉱床の探査を行う会社として設立されたデラウェア州法人ジオフィジカル・サービスGeophysical Service Inc.を前身とする。1951年1月ゼネラル・インスツルメンツGeneral Instruments Inc.と改称され、さらに12月現社名に変更された。設立当初はテキサス州において石油会社のための物理探鉱業務に携わっていたが、1949年に電子工業部門を設置して以来、製造部門に活動の重点を移した。とくに、1952年ベル研究所でのトランジスタの開発と特許公開とともに、半導体の生産に乗り出した。同社は1950年代の真空管時代の末期から飛躍的な発展を遂げた。1959年に同社の技術者キルビーがIC(集積回路)を発明し、以後1960年代のIC時代には業界のトップ・メーカーの地位にのし上がった。1980年代以降は、パーソナル・コンピュータの需要増からメモリー生産が伸び、1988年からは日立製作所とのジョイント・ベンチャーによるDRAM(ディーラム)の製造を始めた。1990年代に入り同社は、マルチメディア技術の心臓部を構成するDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)の生産を中心とした半導体事業を展開。1997年、国防関連の電子機器部門を防衛関連の大手レイセオンRaytheon Co.に29億5000万ドルで売却した。日本には、1968年(昭和43)に日本テキサス・インスツルメンツを設立した。
[佐藤定幸・萩原伸次郎]
その後の動き
2006年にセンサー・制御部品部門をベイン・キャピタルBain Capital, LLCに30億ドルで売却。2008年度の売上高は125億0100万ドル、純利益19億2000万ドル。日本テキサス・インスツルメンツの売上高は2257億円(2008年12月期)。
[編集部]