穀粒を食用とするイネ科の一年草。穀粒は1~1.5mmでイネ科穀物のうち最も小さい。テフの語源はエチオピア語のtéfa(紛失の意)で,この粒をひとたび落とせばもはや探しえないことによるという。原産はエチオピアで,現在はエチオピアおよびインド東部の両地域に限って栽培される。類似した野生種にE.aethopica Chiov.,E.pilosa (L.) Beauv.など数種あり,それらのどれかから栽培化されたものと考えられている。エチオピアでは主食の半分を占め,広く栽培されている。草丈は30~150cmで,茎葉は繊細でよく分げつする。夏季,長さ20~60cmの穂を出す。多くの穂枝があり,小穂は4~5,ときに7~9小花からなり,長さ5~10mm。自家受精により,開花後30日余りで成熟する。成熟した子実は露出し,やや脱粒性がある。かなり多くの品種が分化している。現地では散播(さんぱん)が多く,家畜(ウシ)の踏みつけによって覆土鎮圧する。かまで株もとから刈って収穫し,脱穀は雄牛あるいは人の足踏みによって行い,風選する。粒を臼で粉にし水でこねて発酵させてから,土なべでインジェラinjeraとよぶ薄焼きパンにする。
執筆者:星川 清親
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イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。草丈は0.3~1.5メートル。よく分げつし、葉は細長い。穂は夏に出て、長い枝柄をもつ。小穂は4~9個の小花からなり、長さ5~10ミリメートル。外穎(がいえい)は3~3.5ミリメートル、内穎は1~2ミリメートル。自家受精し、開花後30日ほどで穎果が完熟する。穎果はイネ科のものでは最小で、長さ約1ミリメートル、成熟すると露出し、やや脱粒性がある。タンパク質に富み、灰分、カルシウム、鉄などが多く含まれている。
エチオピア原産で、古くインドに伝わり、この両地域に限って栽培されている。多くの品種があり、穎果の色によって、赤紫色の品種群と白色の品種群とに分けられる。エチオピアでは粒を臼(うす)で粉にひき、これに水を少量加えて練り、1日放置して発酵させ、バターなどを加えて、インジェラinjeraと称する薄焼きパンにする。特有の強い香りと酸味があり、常食とされる。
[星川清親 2019年8月20日]
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…ただしタールの一部やベンディールは小型シンバルの代りに,さわり弦を革面に張り,特殊な音響効果を発する。トルコ語ではドゥッフはデフdefまたはテフtefとなまって発音され,シンバル付きのものは特にジッリ・デフzilli defと呼ばれている。シンバルを欠くデフは民俗音楽やスーフィーの儀礼などに用いられ,これはダーイラとほとんど同じ太鼓であり,事実,古代・中世には円形のドゥッフはダーイラと呼ばれていた。…
…ただしタールの一部やベンディールは小型シンバルの代りに,さわり弦を革面に張り,特殊な音響効果を発する。トルコ語ではドゥッフはデフdefまたはテフtefとなまって発音され,シンバル付きのものは特にジッリ・デフzilli defと呼ばれている。シンバルを欠くデフは民俗音楽やスーフィーの儀礼などに用いられ,これはダーイラとほとんど同じ太鼓であり,事実,古代・中世には円形のドゥッフはダーイラと呼ばれていた。…
…貴族,僧侶,軍人たちは大土地所有者であり,小作農民とのあいだの封建的関係が複雑に入り組んでいる。農民は小麦,大麦,トウモロコシ,テフ(エチオピア固有のイネ科の穀物)などを栽培し,インジェラという発酵パンを主食とした。ティグレ族とアムハラ族の区別はむずかしいが,ティグレ族はエチオピア北部とエリトリアにかけて,孤立した山塊に居住して,アムハラ族の支配に抵抗した。…
※「テフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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