ニワホコリ(読み)にわほこり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニワホコリ」の意味・わかりやすい解説

ニワホコリ
にわほこり / 庭埃
[学] Eragrostis multicaulis Steud.

イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。稈(かん)は繊細で株立ちし、高さ10~30センチメートル。8~10月、稈の先端に分枝の着点に毛のない円錐(えんすい)花序をつける。小穂は長卵形で長さ2~3.5ミリメートル、幅1~1.5ミリメートル、小花が4~8個ある。護穎(ごえい)は長さ約1.5ミリメートル。庭先日当りのよい場所に生え、日本全土、東アジア、中国、マレーシアに分布し、ヨーロッパ、北アメリカに帰化している。名は、庭などに普通にみられ、小穂が小さく埃(ほこり)を思わせることによる。近縁種に、花序の分枝の着点に白毛があり本種よりやや大きいオオニワホコリ、護穎が長さ1ミリメートルで繊毛があり、花序が5~10センチメートルのヌカカゼクサ、花序が20~60センチメートルと長いコゴメカゼクサがある。

[許 建 昌 2019年9月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニワホコリ」の意味・わかりやすい解説

ニワホコリ
Eragrostis multicaulis; love grass

イネ科の多年草。アジアの温帯から熱帯に広く分布し,庭,たんぼ路傍など,いたるところにみられる。元来アジア原産の種であるが,現在ではヨーロッパやアメリカ大陸にも帰化して全世界でごく普通の雑草になっている。稈は細く,基部は斜上し上部は直立し,根もとから多数出る。葉は長披針形で基部は葉鞘となり,鞘の口部は無毛。夏から秋にかけて,稈の頂部に円錐花序をなして淡紫色の多数の小穂をつける。近縁種のオオニワホコリ E. pilosaも全世界に分布する非常に似た種であるが,やや大型で,鞘の口部に長毛を有する。南アフリカ産の同属の別種 E. curvulaウィーピングラブグラスの名で日本でも道路工事の砂防などに広く使われている。

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百科事典マイペディア 「ニワホコリ」の意味・わかりやすい解説

ニワホコリ

イネ科の一年草。アジア東部に分布し,ほぼ日本全土の畑地や半陰地に普通にはえる。茎は繊細で,高さ10〜30cm,葉は狭い線形となる。8〜10月に開花。花穂は狭楕円形で,長さ6〜10cm。小穂は淡紫色で4〜8個の小花をつける。近縁にエチオピアなどで栽培されるテフがある。

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世界大百科事典(旧版)内のニワホコリの言及

【カゼクサ】より

…温帯と暖帯に分布し,ヒマラヤ,中国から北海道を除く日本各地に見られる。カゼクサに似て小型のニワホコリE.multicaulis Steud.は北海道を含む日本全土にある雑草。 カゼクサ属Eragrostisは熱帯,亜熱帯に100種もある大きな属で,属名がギリシア語のeros(=love)とagrostis(=grass)であるので愛の草と訳される。…

※「ニワホコリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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