テレサ(アビラの) Teresa 生没年:1515-82
目次 図像 〈イエズス のテレサ(テレサ・デ・ヘスス)Teresa de Jesús 〉〈大テレサ 〉とも呼ばれるスペイン のキリスト教神秘家,女子カルメル会 改革者,聖女。アビラ に生まれ,1536年同地のカルメル会エンカルナシオン修道院 に入った。54年のある日,神秘的なキリスト体験からテレサの修道生活刷新が始まった。62年7月教皇ピウス4世Pius Ⅳ(在位1559-65)から改革修道院創立 認可を受け,8月24日アビラ城壁外の一隅にサン・ホセ修道院を創立した。彼女の活動には十字架 のヨハネ (フアン・デ・ラ・クルス)の協力があずかって大きい。そのほか生存中に16の女子修道院と二つの男子修道院をスペインの町の中に創立したが,これらの修道院から神観想のカルメル会的霊性が全世界に広がっていった。テレサの神秘的著作には《自叙伝 》《完徳の道》《創立史》《霊魂の城》などがある。祝日は10月15日。 執筆者:鈴木 宣明
図像 美術においては,裸足の修道女 が天使に黄金の矢で心臓を射抜かれ,肉体的苦痛のなかで宗教的法悦にひたる姿(ベルニーニ 《テレサの法悦》,1647)で表される。またキリストや天使とともにいて書物をひもといたり,荆冠をかぶり胸にIHS(〈イエス 〉,または,ラテン語 で〈この十字架に救いあり〉を意味するin hoc salusの略)の徽(しるし )を抱く修道女としても表現される。 執筆者:篠 雅広
テレサ(カルカッタの) Theresa 生没年:1910-97
カトリック修道女。通称マザー・テレサ Mother Theresa。ユーゴスラビア のスコピエ に生まれ,ロレット修道会に入り,1928年インドのダージリン に派遣され,後カルカッタ の女子高校で教えたが,48年カルカッタの貧しい人々への奉仕に生涯を捧げることを決意した。50年に彼女が設立した〈神の愛の宣教者会〉は,カルカッタの癩病人,孤児,死を待つばかりの老人の世話から始めて,全世界の貧しい人々のために働いた。彼女は,現代世界における高貴な人間愛の象徴となり,79年ノーベル平和賞を受けた。 執筆者:稲垣 良典
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テレサ てれさ Mother Teresa (1910―1997)
修道女。旧ユーゴスラビア(現、北マケドニア共和国)のスコピエ出身。幼名はアグネス・ゴンジャ・ボヤージュ。1928年アイルランド のロレット修道会に入り、志願してインドに渡る。1929~1948年カルカッタ(現、コルカタ )のセントメリー高等学校の教師、校長 を務める。1946年神の召命 を受け「貧しい人のなかでもいちばん貧しい人たちのために一生を捧(ささ)げる」ことを決意する。1948年インド国籍を取得、ロレット修道会を離れ、ひとりでカルカッタの貧民街 で活動を始める。1950年「神の愛の宣教者会」女子修道会を創立、以来「マザー・テレサ」とよばれる。「死を待つ人の家」「孤児の家」「救癩(らい)活動」の施設をインド各地に展開、1979年ノーベル平和賞を受賞する。インドのみならず世界各地に施設を広げ活躍した。1981年(昭和56)初来日。1997年9月5日心臓発作のため死去 、13日カルカッタ市内で国葬、遺体 は修道会本部に埋葬された。2003年福者(聖人 の次位者の称号 )に列せられた。
[沖 守弘]
『M・マゲッリッジ著、沢田和夫訳『マザーテレサ』(1976・女子パウロ会)』 ▽『沖守弘著『マザー・テレサ あふれる愛』(1981・講談社)』 ▽『沖守弘著『マザー・テレサ 愛はかぎりなく』(写真集 1997・小学館)』
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テレサ[アビラ] Teresa de Avila
[生]1515.3.28. アビラ [没]1582.10.4. アルバ・デ・トルメス スペインのキリスト教神秘家,女子カルメル会 改革者,聖女,最初の女性教会博士。イエズスのテレジア ,大テレジアとも呼ぶ。 1535年父の意に反してカルメル会に入ったが,微温的な修道生活を続けた。 1554年神秘体験を味わい,回心してキリストにすべてを捧げて従うことを決意。 1562年同志とともに原初の厳格な戒律に従う改革カルメル修道院をアビラに設立,そこから女子のみではなく男子カルメル会の改革運動をも,十字架のヨハネ らの協力を得て指導した。みずからも観想生活に専念,その体験を数々の書に著した。女子跣足カルメル会の創立者として大きな尊敬を集めるとともに,神秘体験の階程を客観的に叙述した著書によって近代カトリック教会 の神秘主義に与えた影響は著しい。主著『自叙伝』 Libro de la vide (1588) ,『完徳の道』 Camino de perfección (1588) ,『霊魂の城』 Castillo interior (1588) ,『創立史』 Fundaciones (1588) など。
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テレサ(アビラの)【テレサ】
スペインのキリスト教神秘家,聖女。〈テレサ・デ・ヘスス〉(イエズスのテレサ),〈大テレサ〉とも呼ばれる。1554年の神秘体験を機に修道院改革運動に従事,十字架のヨハネ の協力のもと,カルメル会 を刷新した。著作《完徳の道》《雲魂の城》などはスペイン神秘主義の代表作。ベルニーニ の彫刻《テレサの法悦》(1647年)も有名。祝日10月15日。 →関連項目アビラの旧市街と塁壁の外の教会群
テレサ(カルカッタの)【テレサ】
カトリック修道女。本名アグネス・ゴンザ・ボヤヒュー,通称マザー・テレサ。ユーゴスラビアのスコピエ生れ。1928年修練先であるアイルランドのロレット修道院からインドに派遣され,以後カルカッタ (現,コルカタ)を拠点に,病人・孤児・貧者への奉仕を続けた。1950年には国籍をユーゴスラビアからインドに移している。1979年ノーベル平和賞を受賞。1984年には〈神の愛の宣教師会〉を創立。死去に際してはカルカッタで国葬が行われ,2003年ローマ法王庁が福者(カトリック教会において,死後,その聖徳を認められた者に対して贈られる敬称)に列福(れっぷく)。
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テレサ Teresa
1910.8.27 -
カトリック宣教師,カトリック修道女。
スコピエ(ユーゴスラビア)生まれ。
本名Agnes Gonxha〉 アグネス・ゴンザ〈Bojaxhiu ボヤヒュー。
別名マザー・テレサ(Mother Teresa〉。
18才でロレット修道会に入り、地理教師として、1928年インドのカルカッタへ赴く。’46年神の召命を受け、「貧しい人々の中にいるキリスト」に仕えるために、スラムへはいる。’50年「神の愛の宣教者会」を設立、カルカッタのらい病人「平和の村」、孤児「孤児の家」、死を待つ老人「死を待つ人の家」の世話をし、生命の尊さを説く。’79年、ノーベル平和賞受賞。現代世界における高貴な人間愛の象徴。著書に、「マザー・テレサの言葉」(’76年)等。
出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊) 20世紀西洋人名事典について 情報
テレサ
任天堂のゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」シリーズのキャラクター。初登場は「スーパーマリオブラザーズ3」(1988年、ファミリーコンピュータ)。照れ屋のオバケ。基本色は白。背後から近づき、向かい合うと動きが止まる。
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世界大百科事典(旧版)内の テレサの言及
【キリスト教】より
…スペインは長い間イスラム教徒の侵入に悩まされていたが,1492年に国家は教会と一体となってこれを追放し,アメリカ大陸発見もあって,一時ヨーロッパの最強国となった。このころ静寂主義と呼ばれる神秘主義が盛んになり,アビラのテレサや十字架のヨハネがその先頭に立った。この運動はイタリアに伝播して〈オラトリオ運動〉(オラトリウムは祈りの家で,ここではミサは行われない)を起こし,オラトリオ会,サレジオ会などを創設した。…
【幻視】より
…教会は幻視体験を管理する立場にもあり,悪魔の誘いである偽りの幻覚と真の幻視とを区別し,人々を教化することに忙しかった。とくにこの時期スペインには,アビラのテレサや十字架のヨハネらの瞑想神秘主義者が出て,祈りによる幻視体験を最重要な信仰生活としてとらえ,また反宗教改革期のイグナティウス・デ・ロヨラも《心霊修業》と呼ばれる一種の幻視体験カリキュラムを構築した。クエーカー派の開祖G.フォックスは,町を歩いているさなかにさえつねに神の啓示を耳にしていたといわれる。…
【神秘主義】より
…そしてこのことは同時に魂がそれ自身の〈根底Seelengrund〉に還ることであり,そこから絶対自由の生,〈何故なき生〉が生きられる。[ドイツ神秘主義] 16世紀になると,宗教改革に反応したカトリックの側の改革運動として,アビラのテレサや十字架のヨハネなど,スペイン神秘主義といわれる運動が起こってくる。テレサによると,絶対受動的観想contemplatio passivaにおいて霊魂の最深処〈霊魂の水晶宮〉は直接に聖霊に満たされる。…
【神秘神学】より
…しかし,この間を通して,教義神学と実践的神秘神学は分離する。後者の近代における本格的な創設者としてはテレサや十字架のヨハネをあげることができる。今日では,神秘神学は義化された(義認を受けた)霊魂のなかでの神の恩恵の働きと顕現の最高度の段階を取り扱う分野と考えられており,浄化,観想的祈り,聖霊の賜物のたえざる働き,それにともなう通常以上の神秘的現象などが研究される。…
【ヨハネ】より
…イエスのいわゆる〈十二弟子(使徒)〉の一人。父の名はゼベダイZebedeeといい,ガリラヤの出身。福音書の伝えるところによると,兄弟ヤコブとともに父の家業であった漁師をしていたところをイエスによって見いだされ,弟子とされたという(《マルコによる福音書》1:19~20)。〈十二弟子〉の名前のリスト(同3:16~19)では筆頭弟子のシモン・ペテロのすぐ後に挙げられ,兄弟ヤコブとともに,〈ボアネルゲBoanerges〉(〈雷の子〉の意)という別称を与えられている。…
※「テレサ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」