食の医学館 の解説
てんかんなきいりひきつけ【てんかん・泣き入りひきつけ】
《どんな病気か?》
〈てんかんは脳の神経細胞が異常に興奮して発作が起こる〉
てんかんは小児期に発症することが多い病気で、大脳(だいのう)の神経細胞が突然、異常な興奮状態を示すために発作(ほっさ)を起こします。発作には全身のけいれんをはじめ、さまざまなかたちがあり、意識を失うことも少なくありません。しかし、脳に特別な病気がない場合は、治療に反応しやすく、数年で治療を中止できる子どももいます。
なお、てんかんは「精神病の一種」「遺伝する」などと誤解されがちですが、これは誤りです。
一方、泣き入りひきつけ(憤怒(ふんぬ)けいれん)は生後3か月から3歳ごろまでの乳幼児にみられ、急に泣きはじめたときに起こります。息を止め、顔やくちびるがしだいに紫色にかわります。
ふつうは1分程度で治まり、成長とともに頻度も減ってきます。自分の思うようにならないとき、いやなことをされたときによく起こります(「熱性けいれん」参照)。
ひきつけを起こしたら、寝かせたまま衣服をゆるめて呼吸を楽にさせます。吐(は)き気(け)がありそうなときは、顔を横に向け、吐物(とぶつ)が気道に入らないようにしてようすをみます。
歯をくいしばっていても舌をかむことはまずないので、口の中に物などを入れる手当ては行わないようにします。
たいていは1~2分で治まるので、あわてて人を呼びにいったりせず、子どものそばを離れないようにしましょう。それ以上けいれんやひきつけが続くときは救急車を呼びます。
治まった場合にも、医師の診察を受けさせましょう。
《関連する食品》
〈脳を鎮める神経伝達物質を活性化するビタミンB6〉
○栄養成分としての働きから
てんかん発作をくり返して起こす幼児の場合、ビタミンB6の不足が原因になっていることがあります。ビタミンB6には、脳を鎮める神経伝達物質の生成を活性化するのを助ける働きがあり、泣き入りひきつけにも効果があります。
ビタミンB6は、豚もも肉などに多く含まれています。
同様に、自律神経(じりつしんけい)のコントロールに必要なマグネシウムが不足しても、てんかん発作が起こりやすくなるともいわれます。
とくにマグネシウムが不足している子どもほど、発作症状がひどくなることが報告されています。
マグネシウムは、アーモンドやダイズ、コンブやヒジキなどに多く含まれています。
アーモンドやウナギに多く含まれるビタミンEは、てんかん発作の予防に有効です。
〈カルシウムとカゼインは、泣き入りひきつけに有効〉
泣き入りひきつけに有効なのは、神経を鎮める働きのあるカゼインやカルシウムです。
カゼインは牛乳や乳製品に、カルシウムは牛乳やイワシなどの小魚に多く含まれています。
○漢方的な働きから
漢方では、ひきつけの応急処置として、ユキノシタの葉のしぼり汁を飲ませるとよいといわれています。