アーモンド(その他表記)almond
Prunus dulcis(Mill.)D.A.Webb(=P.amygdalus Batsch.)

デジタル大辞泉 「アーモンド」の意味・読み・例文・類語

アーモンド(almond)

バラ科の落葉高木。葉は長楕円形。果実はに似るが、扁平で、種子の苦いもの(苦扁桃くへんとう)と甘いものとがある。苦扁桃油はせきどめに、甘いものは菓子や料理に使う。アジア西部の原産。扁桃。巴旦杏はたんきょう。アマンド。アメンドウ

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精選版 日本国語大辞典 「アーモンド」の意味・読み・例文・類語

アーモンド

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] almond ) バラ科の落葉果樹。小アジア原産で、高さ六メートルぐらいになる。果実は桃に似るが果肉が薄く水分も少ない。二系統あって、甘いもの(甘扁桃(かんへんとう))は種子の仁をアーモンドといい、ナッツとして食用にし、苦いもの(苦扁桃)は神経や咳(せき)を鎮める効果があり、苦味成分から杏仁水(きょうにんすい)をつくる。日本へは明治初年に渡来。アメンドウ。
    1. [初出の実例]「アーモンドをうんと使った、クレセントマカロンが一」(出典:ロッパ食談(1955)〈古川緑波〉甘話休題I )

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改訂新版 世界大百科事典 「アーモンド」の意味・わかりやすい解説

アーモンド
almond
Prunus dulcis(Mill.)D.A.Webb(=P.amygdalus Batsch.)

モモの近縁種で仁を食用とするバラ科の落葉果樹。園芸上は堅果(殻果)類に属する。ヘントウ(扁桃),ハタンキョウ巴旦杏),アメンドウともいわれた。アジア西部の原産。有史前に南ヨーロッパや北アフリカに伝わったといわれ,夏季に雨の少ない地域で温暖な風土に適する。地中海沿岸諸国とアメリカのカリフォルニア州が主産地。フランス,スペイン,イスラエル,アメリカなどでは品種改良が盛んに行われている。日本へは明治の初めに扁桃(巴旦杏)の名前で導入されたが,風土に適さなかったため栽培・普及にいたらなかった。モモに似た葉と花をつける。果実が成熟すると果肉が乾燥して裂け,核が落下する。核の中に仁があり,それを食用とする。核の砕きやすさによって軟核種soft shellと硬核種hard shellが,風味によって甘仁種sweet almondと苦仁種bitter almondがある。食用には軟核の甘仁種を利用する。苦仁種はアミグダリンを含むので苦く食用とならないが,古くから咳止薬として利用されている苦扁桃油の製造原料に用いる。甘仁種はアミグダリンを含まないので生食またはバター,塩などで味付けをし,ナッツとして利用する。近年はチョコレートやクッキーに入れたり,粉末(アーモンドパウダー)にしてケーキに入れたり,薄く刻んでサラダなどの振りかけ用としたりして,生食だけでなく菓子や料理の材料にも利用されることが多い。
執筆者:

アーモンドはイスラエル人にとって聖なる植物である。出エジプト後,祭司を選出する部族を決めるにあたって,アーモンドの樹で作ったつえを各幕屋の前に突き立てて占ったところレビ族のアロンのつえに花が咲いたという。タンホイザー伝説においても,ウェヌスの都で快楽にふけった罪を告白にきた彼に対し,教皇ウルバヌス4世は〈このつえに花が咲くなら罪は宥(ゆる)されよう〉と答えてすげなく追い返したが,ほんとうにつえに花が咲いてしまい,あわててタンホイザーを探しまわったという。ギリシアの悲恋物語では,恋人デモフォンDēmophōnの帰還を待たずに焦がれ死にしたフュリスPhyllisのために,デモフォンがアーモンドの樹の洞に作られた墓に回向したところ,花が一斉に咲きだした奇跡が語られ,爾来アーモンドは不滅の愛の象徴ともなった。花言葉は〈純潔〉〈豊穣〉,フランスでは〈幸福な結婚〉。
執筆者:


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アーモンド」の意味・わかりやすい解説

アーモンド
あーもんど
almond
[学] Prunus dulcis (Mill.) D.A.Webb
Prunus amygdalus Batsch

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉高木。別名アメンドウ、ヘントウ(扁桃)、ハタンキョウ(巴旦杏)。染色体数は2n=16である。葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ約10センチメートル、鋸歯(きょし)があり、表面は平滑で光沢がある。花は径2~3センチメートル、花弁は基本的には5枚、雌しべ1本、雄しべ30本余り、葉の出る前に開花する。果実はモモに似るが扁平(へんぺい)で高さ数センチメートル。果肉は水分が少なく、堅いが、熟すと裂けて核を露出する。核は扁平で、堅くて割れにくい硬核種から、紙のように薄く、割れやすい軟核種まであり、核内には普通1個の仁(じん)がある。この仁がアーモンドナッツとして利用され、軟核種が果実用として栽培される。

 西アジア原産で、南西・中央アジア、トルコ、シリア、カフカス、イラン、天山山脈、ヒンドゥー・クシ山脈、アフガニスタンまで広く野生種が分布し、変異は大きい。モモに似た植物で、栽培の歴史は古く、4000年以前から栽培されていた。栽培はモモよりやや暖かく、果実の発育期、とくに収穫期に乾燥する地方がよく、アメリカのカリフォルニア、スペイン、イタリア、フランス、フランス領モロッコ、ポルトガルなどで多く栽培されている。多数の品種があり、ノンパレル、ビュートモントレーなどが知られる。いずれも自家不結実性なので、交配親和性から6群に分けられ、授粉用に他品種との混植が行われる。開花期の霜抵抗性、冬期の低温抵抗性あるいは高温抵抗性品種が望まれる。日本には明治初年に導入されたが、気候にあわず、一般には栽培化されていない。

[飯塚宗夫 2019年12月13日]

利用

仁に苦味をもつ苦仁種(苦扁桃(くへんとう))と、甘味をもつ甘仁種とがある。前者は薬用としてその抽出油の苦扁桃油は咳(せき)どめに使用され、後者の甘仁油は保健によい。アーモンドナッツは甘仁種の仁で、100グラム中に脂肪54グラム、タンパク質19グラム、そのほか多量のミネラル類、少量のビタミン類を含み、598カロリーをもつ。仁を包む褐色の薄皮は、熱湯をかけるか、蒸気処理で簡単に除去できる。生食のほか、炒(い)ったり、塩や調味料を加えて油炒(いた)めにする。チョコレート菓子や、スライスして練り菓子アイスクリームに、ペースト状にして菓子類の材料にしたり、広く利用される。

[飯塚宗夫 2019年12月13日]

香りの利用

苦仁種は甘仁種より芳香が強いので、アーモンドエッセンス製造用に使われている。苦仁種には青酸が含まれているので、化学的処理をしてから用いられている。香りは杏仁に似ているので、中国料理杏仁豆腐(シンレントウフ)の香りづけや、リキュールにも使われる。

[齋藤 浩 2019年12月13日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アーモンド」の意味・わかりやすい解説

アーモンド
Almond, Gabriel Abraham

[生]1911.1.12. イリノイロックアイランド
[没]2002.12.25. カリフォルニア,パシフィックグローブ
アメリカの政治学者。 1932年シカゴ大学卒業,38年博士号取得。プリンストン大学,エール大学などの助教授,教授を経て 63年以降スタンフォード大学教授。この間,社会科学研究評議会比較政治学委員長 (1954~63) ,東京大学客員教授 (62) 。さらにスタンフォード大学政治学部長 (64~68) ,アメリカ政治学会会長 (65~66) ,ケンブリッジ大学在外フェロー (特別研究員,多くは教職を兼ねる。 72~73) などを歴任。専門は政治行動・比較政治学で,特に新興国の政治に関する構造・機能分析で有名。主著『アメリカ国民と外交政策』 The American People and Foreign Policy (50) ,『発展途上地域の政治』 The Politics of the Developing Areas (60,編著) ,『市民文化』 The Civic Culture (63,S.バーバと共著) ,『比較政治学-発展アプローチ』 Comparative Politics: A Developmental Approach (66,G.パウエルと共著) 。

アーモンド(扁桃)
アーモンド
Prunus amygdalus; almond

バラ科の落葉高木。ハタンキョウ (巴旦杏) ,アメンドウともいわれ西アジア原産。地中海沿岸で改良され,現在はアメリカのカリフォルニアで盛んに栽培されている。日本には明治初年に輸入されたが,気候の相違から栽培は成功しなかった。モモに近い種類であるが果肉は薄くて食用にならず,核に包まれた大型の種子が利用される。スイートアーモンド (甘扁桃) とビターアーモンド (苦扁桃) の別がある。前者は洋菓子の原料やいわゆるナッツとしてそのまま食し,アーモンドといえばこれをさす。後者はアミグダリンを含むため苦く,種子から杏仁水をとって薬用,化粧用,香料に使用する。

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食の医学館 「アーモンド」の解説

アーモンド

《栄養と働き&調理のポイント》


 原産地は小アジア地方。現在は地中海沿岸やカリフォルニアなどがおもな産地。高さ7~8mにもなるバラ科の落葉樹の実です。
○栄養成分としての働き
 主成分は脂質ですが、そのほとんどがオリーブ油に含まれるオレイン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸です。
 オレイン酸は血栓(けっせん)予防に有効です。リノール酸は、適度にとれば体内のコレステロールを排出する作用もあるので、動脈硬化、脂質異常症などの予防に効果があります。
 おもな種実類のなかでもビタミンE、ビタミンB2の含有量に富んでいます。EはビタミンAの酸化を防ぎ、細胞膜を丈夫にして体内の酸化物質を抑制する抗酸化作用があります。動脈硬化予防、がん予防、老化防止に強い力を発揮してくれます。B2は体脂肪の燃焼を高め、E同様に動脈硬化予防に役立ちます。
 骨を強化するカルシウム、鉄分も豊富。たんぱく質が豊富で、肝臓を保護するので、お酒のおつまみにはピッタリです。
 殻(から)なしのものを購入した場合は酸化による劣化が早いので、密封された缶などに入れ、冷暗所に保存しましょう。

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百科事典マイペディア 「アーモンド」の意味・わかりやすい解説

アーモンド

扁桃(へんとう),巴旦杏(はたんきょう)とも。西アジア原産のバラ科の果樹。モモに近縁だが,果肉は薄く食用にならない。種子中の仁を食べるのでナッツの類に入れられる。乾燥気候を好み,地中海沿岸諸国と米国カリフォルニア州などで栽培される。→ハタンキョウ

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栄養・生化学辞典 「アーモンド」の解説

アーモンド

 [Prunus communis],[P. dulcis].バラ目バラ科サクラ属の落葉高木の実.代表的なナッツは甘味種からとり,煎って食用にしたり菓子の製造の原料にする.苦味種は,アミグダリンというシアン生成配糖体を多く含み,これがシアンを生成し,害作用がある.仁からアーモンド油をとる.

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367日誕生日大事典 「アーモンド」の解説

アーモンド

生年月日:1911年1月12日
アメリカの政治学者
2002年没

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