イギリスのスパイ小説作家。ロンドン生まれ。メリルボーン・グラマースクールを卒業後、鉄道事務員として働いたのち、英国空軍に志願する。除隊後、セント・マーティン美術学校、王立美術学校に学ぶ。フリーのイラストレーター、航空会社勤務を経て、創作活動を始めた。1962年、『イプクレス・ファイル』でデビューする。第三作『ベルリンの葬送』は、発売後たちまちベストセラーとなった。デイトンは、超人的な諜報員ヒーローが活躍する善玉悪玉のはっきりした「007」風な娯楽小説ではなく、ほとんど同時期にデビューしたル・カレ同様、冷戦時代の混沌(こんとん)とした状況を背景に、情報部員たちによる政治工作から彼らの日常に至るまで重厚な筆致で描き続けた。独自の抒情(じょじょう)的な文体とこまやかな情景描写による作風から、「スパイ小説の詩人」といわれた。その後、『ベルリン・ゲーム』(1983)に始まるバーナード・サムスンを主人公とする大河小説シリーズを書き続けた。サムスンはSIS(英国秘密情報部)の特務部に所属するスパイ。シリーズ9作目『最後のスパイ 慈愛』(1996)でいちおうの完結となった。20作を超えるスパイ小説のほか、『SS-GB』(1978)、『グッバイ、ミッキー・マウス』(1982)などの戦争小説や『爆撃機』(1970)などの戦史的ノンフィクションを発表しており、さらに3冊の料理書まで手がけている。
[吉野 仁]
『後藤安彦訳『爆撃機』(1979・早川書房)』▽『井上一夫訳『イプクレス・ファイル』(ハヤカワ文庫)』▽『稲葉明雄訳『ベルリンの葬送』(ハヤカワ文庫)』▽『後藤安彦訳『SS-GB』『グッバイ、ミッキー・マウス』(ハヤカワ文庫)』▽『田中融二訳『ベルリン・ゲーム』『最後のスパイ 信義』『最後のスパイ 希望』『最後のスパイ 慈愛』(光文社文庫)』
アメリカ合衆国、オハイオ州南東部、グレート・マイアミ川に臨む都市。人口16万6179(2000)。豊かな農業地帯に立地し、農産物の市場でもあるが、軽工業を軸とした工業都市としても重要である。とくに金銭登録機、電気冷蔵庫や家庭用品、自動車部品の生産が高く、印刷業も盛ん。また、1903年にここで生まれたライト兄弟の初飛行成功によって、以後合衆国の飛行・航空技術研究のリーダー都市の一つとして高く評価されており、ライト・パターソン空軍基地の所在地でもある。古くはニュー・オーリンズ向けの農産物の積出し地であったが、南北戦争前後の運河、鉄道、さらに工業の発達で急成長した。工業都市の活気とともに文化の香りも高く、イタリア・ルネサンス様式の美しいデイトン美術館は同市のシンボルとなっている。1995年、市域の空軍基地でボスニア・ヘルツェゴビナ和平協定が合意された(デイトン合意)。
[作野和世]
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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