日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディートリヒ」の意味・わかりやすい解説
ディートリヒ
でぃーとりひ
Marlene Dietrich
(1901―1992)
アメリカの女優、歌手。ベルリンの中流貴族の家柄の出身で、演劇と音楽を学んだのち、1923年から映画と舞台に出演。1930年、ハリウッドのスタンバーグ監督のドイツ映画『嘆きの天使』のローラ役に抜擢(ばってき)され、同年アメリカ映画界入りをし、スタンバーグ監督とのコンビで1935年までに『モロッコ』『間諜(かんちょう)X27』『上海(シャンハイ)特急』『ブロンド・ヴィナス』『恋のページェント』『西班牙(スペイン)狂想曲』の6本に主演。「100万ドルの脚(あし)」と退廃美で一時代を築き、G・ガルボとしばしば対比された。ナチスを嫌って1939年にはアメリカに帰化し、第二次世界大戦中はヨーロッパの前線で兵士の慰問に活躍した。『リリー・マルレーン』をはじめとする持ち歌で、1953年以降はエンターテイナーとしても活躍、1970年(昭和45)の大阪万国博覧会で初来日した。その他の映画出演に『砂漠の花園』(1936)、『鎧(よろい)なき騎士』(1937)、『狂恋』(1946)、『情婦』(1958)など。
[畑 暉男]
『高橋英一著『愛しのマレーネ・ディートリッヒ』(1984・文化出版局)』