元来写真術の用語で,2枚の写真ネガ原板を重ね合わせて焼き付け1枚の写真をつくる方法で,二重焼付け法と呼ばれる。ふつうは映画の画面に重ねる字幕superimposed titleのことをいい,とくに外国映画につける日本語字幕をさす。日本ではトーキーの初期からこの方法で外国映画の日本語版がつくられている(1931年上映の《モロッコ》が最初)。せりふが話されている間に読めるように縮めた訳文であることに特色がある。なお,せりふを日本語に吹き替えたものはダビング版という。
執筆者:川田 弘
1935年,スコットランドのラックストン事件でスーパーインポーズ法superimposing methodを用いて頭蓋骨から2人の女性の被害者を識別することに成功して以来,頭蓋骨からの個人識別の有力な手段として広く応用されている。すなわち身元のわからない頭蓋骨が発見された場合に,該当者と思われる人の生前の顔写真を同じ角度から撮影した頭蓋骨写真と重ね合わせて焼き付け,1枚の写真をつくる。生前の顔写真と頭蓋全体の形,眼・鼻・口の位置などが一致するかどうかによって,同一人かどうかを判定する。この判定に際しては,正面像だけでなく,横顔など撮影方向の異なる複数の鮮明な顔写真がいずれも一致することが望ましい。
執筆者:龍野 嘉紹
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映画用語。「上に重ねる」という原義から、写真用語として二つの画像を重ねて焼き付けることをいったが、今日一般には、外国映画などの画面内に台詞(せりふ)の訳文を焼き込むことをいう。略してスーパー。日本最初の外国映画日本語スーパーインポーズは『モロッコ』(1931)であった。映画フィルム上に写真的に文字などを白く焼き込むスーパーインポーズ字幕superimposed titleと、映画フィルムの膜面を文字などの部分だけ白く打ち抜くインプレス字幕impressed titleの2種がある。なお字幕でなく、日本語の台詞に吹き替えることを吹き替え、ダビングdubbingなどという。
[日野康一]
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