アルダー(読み)あるだー(英語表記)Kurt Alder

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルダー」の意味・わかりやすい解説

アルダー
あるだー
Kurt Alder
(1902―1958)

ドイツの有機化学者。7月10日ケーニヒスヒュッテ(現、ポーランドのホジューフ)に生まれる。ベルリン大学およびキール大学で化学を学び、キール大学教授(1934)、イー・ゲー・ファルベン社化学研究部長(1936)、ケルン大学教授兼化学研究所長(1940)を務めた。おもな業績ディールス‐アルダー反応として知られるジエン合成の方法を開拓したことで、環式化合物合成、共役二重結合の確認や各種の重合を可能にし、染料、医薬品、殺虫剤、乾性油、潤滑油などの製造に応用された。この研究によりディールスとともにノーベル化学賞を受賞した(1950)。1958年6月20日ケルンで没した。

[岩田敦子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルダー」の意味・わかりやすい解説

アルダー
Alder, Kurt

[生]1902.7.10. ケーニヒスヒュッテ
[没]1958.6.20. ケルン
ドイツの有機化学者。ベルリン大学とキール大学で化学を修め,1926年キール大学で学位取得。キール大学教授 (1934~36) 。イー・ゲー・ファルベン工業の研究部長 (36~40) 。ケルン大学の化学教授兼化学研究所部長 (40) 。 28年に師 O.ディールスとともに,ジエンキノンの反応を発見。ジエンが,活性化された二重または三重結合をもつ種々な化合物と容易に反応すること (ジエン合成) を発見。これは現在ディールス=アルダー反応と呼ばれている。この反応により反応の性質を最初に実験的に解明し,多くの環状化合物の合成に応用できることを示した。さらに,この反応を使って合成樹脂を開発した。これらの業績により,50年ディールスとともにノーベル化学賞を受賞した。

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