フィルムやフィルムカメラを用いず、撮影から編集、配給、上映まですべてをデジタル機材とデジタル情報で処理する映画。伝統的なフィルム撮影に比べて画像や音響が高品質となり、繰り返し上映することによる画質の劣化もない。フィルムの焼き増しや輸送の必要がなく、フィルム映画に比べ製作時間や製作コストを大幅に抑えられる利点がある。2000年ごろから普及し始め、2010年代なかばには、アメリカや日本の大半の映画館がデジタルシネマ対応に切り替わるとみられている。
1980年代以降、特殊撮影やコンピュータ・グラフィクスが多用されるようになり、デジタルカメラでの撮影も増えた。このため映像フィルムをまったく用いず、撮影から上映まですべてをデジタル化しようとの構想が浮上した。2000年ごろから実証実験が始まり、ハリウッドのメジャー映画会社7社がつくった時限会社DCI(Digital Cinema Initiatives、LLC)によるデジタルシネマの統一規格が2005年に完成した。
一般に、ビデオ機器で撮影したデジタル情報を編集処理し、デジタル化した作品データを配給元と劇場が通信衛星、光ファイバー網、インターネットなどでやりとりし、専用映写機で上映する手法をとる。上映に欠かせない専用映写機が1台1000万円程度するため、劇場にとっては初期投資の負担が重く、デジタルシネマ普及の障害となってきた。ただ3D(スリーディー)(三次元)映像を高画質で製作できるため、デジタル3Dシネマ作品が相次いで登場することで、専用映写機の導入が一気に進み、デジタルシネマが急速に普及する可能性がある。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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