デバイシェラー法(読み)デバイシェラーホウ

デジタル大辞泉 「デバイシェラー法」の意味・読み・例文・類語

デバイシェラー‐ほう〔‐ハフ〕【デバイシェラー法】

X線回折を利用した構造解析手法の一。粉末多結晶試料X線を照射するとブラッグ反射による物質に固有な環状回折像が得られる。この像を標準試料のものと比較して物質の同定を行う。

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化学辞典 第2版 「デバイシェラー法」の解説

デバイ-シェラー法
デバイシェラーホウ
Debye-Scherrer method

微小な結晶粉末,あるいは金属のような微小結晶の集合体によるX線回折写真撮影法.P.J.W. Debye(デバイ),P. ScherrerおよびA.W. Hullが考案した.単色X線を配向していない結晶性粉末試料に投射すると,結晶粒はあらゆる方向に向いているため,ブラッグ条件を満足する網面は必ず多数存在し,θ1θ2,…などの円すい面上に生じる.したがって,入射X線に垂直に写真フィルムを置くと,入射X線の当たった点を中心とするいくつかの同心円として回折線が記録される.このような回折図形をデバイ写真または粉末写真といい,個々の回折環をデバイ-シェラー環という.一般には,試料を中心にした円筒フィルムを使用する.集中法X線カメラは,能率的に質のよい回折図形を得るために工夫されたものである.ブラッグ角が90°に近い回折線を背面反射法で記録すると,格子定数をきわめて精密に(1/3000 nm)求めることができる.現在では,この回折線を観察するために自動X線回折計が用いられることが多く,一部の簡単な物質の構造解析にも使われるが,未知試料の同定や分析にもっともよく利用される.なお,この方法は電子線回折でも用いられる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デバイシェラー法」の意味・わかりやすい解説

デバイ=シェラー法
デバイ=シェラーほう
Debye-Scherrer method

X線や粒子線の回折による結晶構造の研究のなかで最も簡便で広く用いられている方法。粉末回折法ともいう。方位が乱雑に分布している微結晶に単色X線を当てると,ブラッグの条件を満足する方位の微結晶がX線を回折し,入射X線と2θ (θはブラッグ角) をなす方向に円錐状に回折X線が生じる。X線フィルム上には環状の回折図形が得られる。この環は結晶構造に固有であるから,その位置と強度の測定から物質の同定,結晶の格子定数や構造の決定ができる。検出には種々の計数管も用いられる。 1916~17年に P.デバイと P.シェラーにより開発された。 (→X線回折 )

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法則の辞典 「デバイシェラー法」の解説

デバイ‐シェラー法【Debye-Scherrer method】

粉末固体を試料とし,X線の単色ビームを照射して,同心円状の回折パターンを得る.以前はフィルムに記録したが,回折してくるX線をガイガーカウンターで測定する機器もある.

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