日本大百科全書(ニッポニカ) 「デルタ航空」の意味・わかりやすい解説
デルタ航空
でるたこうくう
Delta Air Lines, Inc.
アメリカ有数の航空会社の一つ。前身は、1924年ジョージア州メーコンに設立された農薬の空中散布を行うハフ・ダランド・ダスターズ社である。その後、ルイジアナ州モンローに本社を移し、1929年にデルタ・エア・サービスと改称。テキサス州、ミシシッピ州などおもに南部地域を中心とした路線をもつ航空会社として発展した。1941年本社をジョージア州アトランタに移し、1945年に現社名に改称した。1950年代末から航空機のジェット化に取り組み、1970年代には航空路線の飛躍的な拡大を実現した。1978年の航空業務の規制緩和に伴い、アトランタとロンドンを結ぶ大陸間ルートを開設した。1987年にウェスタン航空を買収し、1991年には破産したパン・アメリカン航空の大陸間ルートを引き継いだ。国内の主要拠点は、アトランタ、ダラス、フォート・ワース、ソルト・レーク・シティ、シンシナティなど、ほぼ全米各地に路線網をもち、国外ではドイツのフランクフルトを中心として25か国に路線網をもった。
1990年代以降、内外の航空会社との提携関係を強め、国内ではアトランティック・サウスイーストAtlantic Southeast Airlines, Inc.、コマイアComair, Inc.、スカイウェストSkywest, Inc.などの航空会社とデルタ・コネクションとよばれる提携関係を結んだ。国際線では、オーストリア航空との提携関係を強めたが、1997年にはヨーロッパ域内の不採算部門からの撤退も発表され、リストラクチャリング(経営再構築)による経費削減にも積極的に取り組んだ。しかし、1990年代に入ってからの国際線の競争激化によって売上げは伸び悩んだ。
その後、競争の激化と原油高によるジェット燃料の高騰が経営を圧迫し、2005年9月に連邦破産法に基づく会社更生手続を申請。2007年に破綻(はたん)状態から脱し、ニューヨーク証券取引所への再上場を果たした。2008年、ノースウェスト航空Northwest Airlines, Inc.を買収・合併。エール・フランス、大韓航空などとともに航空アライアンス、スカイチームのメンバー。2009年時点で、世界66か国、368都市に運航、保有機数1017機、従業員数7万人以上。2008年の売上高は226億9700万ドル、欠損額は89億2200万ドル。
[萩原伸次郎]