伊勢(いせ)湾北東部、名古屋市中心部の南約35キロメートル、愛知県常滑(とこなめ)市沖約3キロメートルの海上に、2005年に開港した空港。東京国際空港(羽田(はねだ)空港)、大阪国際空港(伊丹(いたみ)空港)、成田国際空港、関西国際空港と並ぶわが国五つめの第1種(国際)空港で、24時間運行が可能。1997年(平成9)12月の閣議で、民間が50%、国が40%、地方自治体が10%を出資する株式会社が建設と運営にあたり、総事業費は7680億円、その40%を国と地元が2対1の割合で拠出する無利子資金とすることなどが決められ、98年5月に中部国際空港(株)が設立され、空港の建設・運営にあたる。民間資金を導入して社会資本を整備するPFI方式private finance initiativeとしてはわが国第1号である。また、ユニバーサルデザイン(障害者、高齢者をはじめすべての人々に使いやすい普遍的デザイン)を設計段階から導入。
当初は、空港用地470ヘクタールと開発用地110ヘクタールとからなる580ヘクタールの人工島を埋立て造成し、3500メートル滑走路1本で開業し、完成時には空港島を約900ヘクタールに拡張し、4000メートル滑走路2本を備える予定。年間の旅客数は国内線1200万人、国際線800万人、貨物量は国内線8万トン、国際線43万トンを想定している。名古屋空港の旧定期路線を一元化してひきつぎ、中部圏の国際ハブ空港(乗り継ぎ拠点となる空港)を目ざす。交通機関としては、名古屋鉄道常滑線・空港線の中部国際空港駅のほか、高速道路は知多半島道路からセントレアライン(知多横断道路・中部国際空港連絡道路)が乗り入れ、各地からバスが通じる。また、三重県の津、鳥羽(とば)から船便がある。
なお、中部国際空港開港に伴い、名古屋空港は県営名古屋空港として整備され、定期国内線、チャーター便、国際ビジネス便などが就航する。
[伊藤達雄]
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