日本大百科全書(ニッポニカ) 「トライチュケ」の意味・わかりやすい解説
トライチュケ
とらいちゅけ
Heinrich von Treitschke
(1834―1896)
ドイツの歴史家、政治評論家。ボン大学、ライプツィヒ大学で学び、1863年若くしてフライブルク大学教授になる。多くの評論でプロイセンを中心とするドイツ国民国家建設の必要を説いていたが、1866年プロイセン・オーストリア戦争が始まるとベルリンに移り、ビスマルクに協力。以後キール大学、ハイデルベルク大学を経て、1874年からベルリン大学教授に就任。同時に帝国議会議員(1871~1884、初め国民自由党、のちには無党派)としても活動、その国家主義的傾向の強い講義や政治評論は当時の言論界に大きな影響を及ぼし、ドイツ歴史学の保守的潮流を代表した。主著に『19世紀ドイツ史』(5巻、1879~1894、未完)がある。
[木谷 勤]
『ハンス・ウルリヒ・ヴェーラー編、ドイツ現代史研究会訳『ドイツの歴史家』第2巻(1983・未来社)』