トロイの木馬(読み)トロイノモクバ

デジタル大辞泉 「トロイの木馬」の意味・読み・例文・類語

トロイ‐の‐もくば【トロイの木馬】

トロイア戦争で、ギリシャ軍トロイア軍を攻略するため、兵を巨大な木馬にひそませて侵入したという故事から》
正体を偽って潜入し、破壊工作を行う者のたとえ。
有益なソフトウエアに見せかけて、コンピューターデータ消去・改竄かいざん・流出などの破壊活動を行うプログラム。→コンピューターウイルス

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共同通信ニュース用語解説 「トロイの木馬」の解説

トロイの木馬

兵を木馬に忍ばせて敵を欺く作戦で勝敗が決したというギリシャ神話が名前の由来になったコンピューターウイルス。自ら感染を広げる機能はなく、通常の文書ファイルなどを装い、ダウンロードさせるなどの方法でパソコンに感染させる。外部からの操作を可能にするほか、情報を盗んだり消去したりと種類によってさまざまな不正な動きをする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トロイの木馬」の意味・わかりやすい解説

トロイの木馬
とろいのもくば

一般的なアプリケーションやファイルを装いながら、ユーザーが意図しない別の動作を、表面上に現れない形で実行する潜伏型のプログラムの総称。呼称は、長年続いたトロイ戦争トロヤ戦争)で、ギリシア軍が巨大な木馬に兵士を潜ませることでトロイ城内に入り込み、ついにトロイ軍を破ったという古代ギリシアの伝承からとったものである。

 ユーザーが一般的なプログラムだと思い実行したり、あるいは特定の時間になるなどをきっかけとして、隠れていた別のプログラムが起動し、レジストリー(OSなどの設定情報を一元管理するためのファイル)の書き換えなどの行為を、ユーザーの許可なく行う。自己増殖しないので厳密にはコンピュータ・ウイルスとは異なるものの、パソコンをソフトウェア的に破壊するなど悪意のある動作をするものがほとんどのため、ウイルスと同じように扱われている。

[編集部]

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故事成語を知る辞典 「トロイの木馬」の解説

トロイの木馬

正体を偽って潜入し、破壊工作を行う者のたとえ。

[使用例] 貴方はトロイの木馬のようだ。表面に誘惑の光りが、絶えることもなくいつも輝いている。〈略〉だが何かしら恐ろしいものが内側に在る[坪田勝*トロイの木馬|1942]

[由来] 紀元前一三世紀ごろに行われたと考えられているトロイア戦争で、ギリシャ軍がトロイアの街を攻略するために取ったという戦術から。トロイアの街の防備は堅く、ギリシャ軍が一〇年攻めても、落とすことができませんでした。そこで、ギリシャ軍は一計を案じ、兵を中に潜ませた巨大な木馬を造ってトロイアの城門の前に置き、残りの兵たちは立ち去ります。それを見て戦争に勝ったと思ったトロイアの人々は、木馬を中に引き入れて、祝勝の宴会を開きました。みなが寝静まったころ、木馬に隠れていた兵が忍び出て、手引きしてほかのギリシャの兵たちを中に引き入れます。その結果、トロイアの街は大混乱に陥り、滅亡してしまったということです。この物語は、紀元前一世紀のローマの詩人、ウェルギリウス叙事詩アエネーイス」などによって伝えられています。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「トロイの木馬」の解説

トロイの木馬

OSやアプリケーションのセキュリティ上の欠陥やバグを突き、一定期間潜伏してから発症するウイルス。善意または無害のプログラムを装ってターゲットのPCに忍び込み、特定のタイミングでPC内のデータを外部に送信したり、侵入のための裏口を開けたりするプログラムのこと。感染して広まるのではなく、ウイルス自体が有用なソフトウェアであることを装って配布されることが多く、入手したユーザーが起動すると感染を始めたり、システムソフトウェアに改変を加えたりする。ギリシャ神話のトロイ戦争で、兵士の入った巨大な木馬を城に入れさせ、内側から城を攻撃したという逸話に似ている手口であることからこの名前がついた。トロイの木馬にはいくつか種類があり、キーボードのタイピングをチェックしてパスワードやクレジットカード番号などを盗み取る「キーロガー」がもっとも有名。ほかに、ホストに忍び込ませたトロイの木馬が内側からセキュリティホールを開けて外部から不正な操作ができるようにする「バックドア」や、トロイの木馬を金融システムに埋め込み、利息計算等で生じた小数点以下の端数のお金を自分の口座へ振り込ませるような「サラミ攻撃」などがある。

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知恵蔵 「トロイの木馬」の解説

トロイの木馬

マルウエアの一種。役に立つソフト、ヌード画像などを装って被害者のダウンロードや実行を促し、実行したコンピューターのセキュリティー設定を変更したり、自ら外部からの通信を受け付けたりして各種の操作を実行可能にしてしまうなどの被害を与える。不正アクセスをする目的で利用され、コンピューターウイルスやスパイウエア、ボットといったさらに別のマルウエアを送り込まれ、さらに別の被害を生じるきっかけになることが多い。
システムの内側から通信用の「穴」をあける行為が、巨大な木馬の貢ぎ物の中に兵を潜ませ、敵都市の内部から門を破壊して戦争を終結させたギリシア神話の「トロイの木馬」に酷似していることから、その名がついた。単独の実行ファイルとして動作し、自らの存在を次々複製するような機能を持たない点で狭義のコンピューターウイルスと区別される。

(斎藤幾郎 ライター / 2009年)

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IT用語がわかる辞典 「トロイの木馬」の解説

トロイのもくば【トロイの木馬】

有用または無害なソフトウェアと見せかけてコンピューターに侵入し、パスワードなどのデータを盗み出したり、外部から不正に操作できるようにしたりするプログラムの総称。一般にコンピューターウイルスの一種とみなされている。◇ギリシャ神話に登場する「トロイの木馬」に由来。

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パソコンで困ったときに開く本 「トロイの木馬」の解説

トロイの木馬

便利なソフトやヌード画像などを装ったマルウエアで、ファイルを開くと悪人がネット経由で遠隔操作できるようになるものです。古代の「トロイの木馬」という故事が名前の由来です。
⇨コンピュータ・ウイルス、
マルウエア

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とっさの日本語便利帳 「トロイの木馬」の解説

トロイの木馬

トロイ戦争は一〇年間にわたって戦われた。ギリシャ軍はトロイを攻略するために大きな木馬を作り、その胴中に兵士たちを潜ませて、トロイ城内に送り込んだ。

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ホームページ制作用語集 「トロイの木馬」の解説

トロイの木馬

ファイル破壊などの被害を与えるタイプの不正なアプリケーションソフトウェア。二次感染や増殖することはない。

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情報セキュリティ用語辞典 「トロイの木馬」の解説

トロイの木馬

一見正当なプログラムを装っている不正なプログラム(バックドア機能などを持つ)。広義のウイルスに含まれる。

出典 教育ネットワーク情報セキュリティ推進委員会(ISEN)情報セキュリティ用語辞典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「トロイの木馬」の解説

トロイの木馬

英国の作家ハモンド・イネスの冒険小説(1940)。原題《The Trojan Horse》。

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世界大百科事典(旧版)内のトロイの木馬の言及

【情報セキュリティ】より

…第157条-公正証書原本不実記載等,第158条-偽造公文書行使等,第161条-磁気的記録不正作出及び供用,第234条-電子計算機損壊等業務妨害,第246条-電子計算機使用詐欺,第258条-公文書等毀棄,第259条-私用文章等毀棄。
【ウイルス/ワーム/トロイの木馬】

[コンピューターウイルスcomputer virus]
 コンピューターウイルスは,他のプログラムに伝染し,増殖を繰り返すようなプログラムである。ここでの伝染とは,部分的でそれ自体では実行できないプログラムコードが,別のプログラム,あるいはプログラムが使用するデータに潜り込むことをいう。…

※「トロイの木馬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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