改訂新版 世界大百科事典 「トーダルマル」の意味・わかりやすい解説
トーダル・マル
Todar Mal
生没年:?-1589
インドのムガル帝国,アクバル皇帝時代の財政官。ラホールの中流,ハトリー(書記)のカースト出身であったといわれるが,若いころの経歴は不明。1573年アクバルのグジャラート占領後,その地におけるトーダル・マルの税制改革が評価され,のち若干修正されてムガル帝国領内で実施されるようになった。のちにザブト制として知られるこの徴税制度は,検地,耕地の分類,生産高の現金への換算を特色とし,アクバル時代後期,各地方の平均生産高の約1/3が税として貨幣で徴収されたものとみられる。帝国財政を安定させるうえで大いに役だった。彼は軍指令官としても有能で,アクバル時代中期には事実上の宰相として活躍した。
執筆者:小名 康之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報