日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドラゴー主義」の意味・わかりやすい解説
ドラゴー主義
どらごーしゅぎ
Drago doctrine
1902年のベネズエラ危機に際して、アルゼンチン外相ドラゴーLuis Maria Drago(1859―1921)が宣言した政策原理。ヨーロッパ諸国は、中南米諸国民から債権を徴集するために武力を行使してはならず、自己の責任で投資すべきであるというもの。ベネズエラの大統領カストロCipriano Castro(1858―1924)の財政が破産に瀕(ひん)し、イギリス、ドイツ、イタリア三国は債権取り立てのため軍艦を派遣してベネズエラを海上封鎖、沿岸を砲撃したが、アメリカ合衆国の仲介で解決した。アメリカのT・ルーズベルト大統領はドラゴー主義を修正し、モンロー主義の拡大解釈を行った(1904)が、07年の第2回ハーグ国際平和会議でこの原理は承認された。
[高橋 章]