改訂新版 世界大百科事典 「ナクサライト」の意味・わかりやすい解説
ナクサライト
Naxalite
インドの武装革命至上主義者の称。1967年3月西ベンガルのナクサルバーリーで土地なき農業労働者たちによる地主の土地占拠闘争が展開され,5月に警官隊と衝突したあと武装闘争を開始した。彼らは当時成立した西ベンガルの左翼統一戦線の路線を拒否し,左派共産党除名の活動家によって指導されていた。同じころアーンドラ・プラデーシュ州の少数部族の農民たちも武装闘争を展開し,これ以後武装革命を至上とする活動家は地名にちなんでナクサライトと称される。当時文化革命下にあった中国の共産党指導部は,この運動を〈インドの春雷〉と評価し,ナクサライトもまた毛沢東思想に基づく中国共産党革命路線を受け入れた。70年代に入って彼らの動きはビハールにも及ぶが,彼らはカルカッタなどの都市で共産党や民主団体,労働組合活動家へのテロ活動を展開し,その反民主的,反人民的実体が露呈した。
執筆者:内藤 雅雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報