日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニコバル諸島」の意味・わかりやすい解説
ニコバル諸島
にこばるしょとう
Nicobar Islands
ベンガル湾南東部にあるインド領の諸島。北緯6~10度の300キロメートルの間に点在する24の島からなる。総面積1841平方キロ、人口3万9208(1991)、3万6842(2011センサス)、12島は無人島である。名称は、13世紀にマルコ・ポーロがニコベラン(裸の意)とよび、その後ポルトガル宣教師がニクバルとなまって発音したことに由来する。19世紀後半からイギリスの流刑植民地で、第二次世界大戦中は日本軍の占領下にあり、1950年アンダマン・ニコバル諸島としてインド中央政府直轄地区となった。南端の大ニコバル島が最大の島で面積1050平方キロメートル、チュイリエ山(632メートル)がそびえる。北端は行政の中心地であるカーニコバル島があり、行政副理事官が在駐し海軍基地もある。ほかにコモルタ島、ナンコウリイ島、チョウラ島、小ニコバル島などがある。
年中高温多湿で、気温は22~30℃、年降水量は2500~3000ミリメートルで、沿岸にはサンゴ礁が発達する。近海で発生するサイクロンの襲来に悩まされる。ジャングルを切り開き、ココヤシ、タコノキ、バナナのプランテーション農業が行われるが、穀物の生産は少ない。木材、香辛料も輸出され、漁業も盛んである。島の先住民はマレー半島から渡来したといわれるニコバル人で、その混血をあわせると人口の90%を占め、ニコバル語を話す。ほかに、短身・色黒でモンゴル系とネグリト系の中間の特徴を有するションペン人が原始的な生活を営むが、現在は絶滅に瀕(ひん)し、大ニコバル島にだけその存在が確認されている。大型汽船がカーニコバル島とコルカタ(カルカッタ)、チェンナイ(マドラス)間を結ぶ。
[林 正久]