ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニュージーランド文学」の意味・わかりやすい解説
ニュージーランド文学
ニュージーランドぶんがく
New Zealand literature
ニュージーランド初の定住植民地は 1840年に築かれたが,現代では一般に 19世紀の作品は,海外在住のイギリス人の作品として,ニュージーランド文学の範疇には入れていない。独創性に欠けるものが多い初期の作品のなかで,M.A.バーカーの『ニュージーランドの牧場生活』 (1870) や,F.マニングの『昔のニュージーランド』 (1863) などの開拓生活を描いた自伝的物語は,当時の暮しをよく伝えている。最初のすぐれた作家である K.マンスフィールドは,生涯の大半を国外でおくったとはいえ,『幸福』 (1920) や『園遊会』 (22) などに収められた短編の多くは,幼年時代を過した理想郷ニュージーランドを舞台にして描かれている。彼女とほぼ同世代の作家には,J.マンダー,W.サッチェル,J.A.リー,R.ハイド,J.マルガンらがいる。最初のすぐれた詩人は,B.E.ボーガンで,続いて 1930年代には,A.R.D.フェアバーン,R.A.K.メーソン,A.カーナウ,D.グラバーらが登場した。 F.サージソンは3部作の自伝や小説で有名になり,30年代には短編も書きはじめた。 50年代になると,J.フレーム,S.アシュトン=ウォーナーなど,国際的に知られる作家が現れた。 M.シャッドボルト,M.ジー,B.ピアソン,D.バランタイン,R.H.モリスンらも注目に値する。多作の詩人 J.K.バクスターは,圧倒的な人気を得た。 20世紀後期の文学スタイルは世界的な流行を反映している。詩はシュルレアリスム,モダニズム,フェミニズムの特徴がみられ,演劇は B.メーソン,M.トンプソン,R.ホールらや,詩人 V.オサリバンによる戯曲で活況を呈している。
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