日本大百科全書(ニッポニカ) 「サージソン」の意味・わかりやすい解説
サージソン
さーじそん
Frank Sargeson
(1903―1982)
ニュージーランドの小説家、短編小説家。イギリス移民の子で、北島ハミルトン生まれ。オークランド大学で法律を学び渡英。第一短編集『伯父との対話ほか』(1936)、『ある男とその妻』(1940)、とくに『あの夏その他』(1946)の短編で文名を確立し、ニュージーランド最初の職業作家となる。特有の日常語で労働者下層民の生活を描き、社会の虚偽を告発、ニュージーランド文学の存在を示した。『日雇い労務者の回顧録』(1965)、『かくれんぼ』(1972)、自伝的エッセイ『一度で沢山』(1973)、『十二分』(1975)、『ネバー・イナフ(これで十分ということは決してない)』(1977)、『日没の村』(1976)などの長編もある。1974年、母校より名誉文学博士号を受ける。
[平松幹夫・古宇田敦子]