ニューポート(読み)にゅーぽーと(英語表記)Newport

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニューポート」の意味・わかりやすい解説

ニューポート
Newport

イギリスウェールズ南東部の工業・港湾都市。単一自治体(ユニタリー unitary authority)。ウェールズ語では Casnewydd。旧モンマスシャー県に属する。1974年の自治体再編でグウェント県の一地区となり,1996年に単一自治体となった。ニューポート市はカーディフの北東約 20km,セバーン川河口の三角江ブリストル海峡となるあたりの北岸に位置し,アスク川最下流部に臨む。12世紀初期に築かれた城を中心に形成された町で,中世には多くの勅許状を得て繁栄。近代都市としての発展は,19世紀に入って南ウェールズ炭田に属する背後の炭田地帯で鉄鋼,アルミニウム,機械などの工業が発達するようになってからで,石炭のほか,それら工業製品の積出港として発展。石炭の積み出しは 1964年に停止したが,市内外で各種工業が行なわれ,工業都市としても発展した。特に東郊のランウェアンに建設された大規模なスペンサー製鋼所が 1962年に操業を開始してからは,イギリス有数の製鋼中心地となった。ほかに鋼加工,製紙,化学などの工業がある。歴史的建築物は少ないが,聖ウーロス聖堂はノルマン時代に創建されたもので,15世紀の塔が現存。セバーン川三角江を橋で越える高速自動車道路,トンネルで越える鉄道によりロンドン方面と連絡。単一自治体面積 190km2。単一自治体人口 13万9600(2005推計)。

ニューポート
Newport

イギリスイングランド南部,イギリス海峡に浮かぶワイト島の行政府所在地。同島の北岸から深く湾入するメディナ川の三角江(エスチュアリー)の最奥部に臨む。ローマ時代にメディナ Medinaとして知られる集落があったところと考えられ,当時の住居跡が発掘されているが,その後のアングロ・サクソン時代の痕跡はない。12世紀後期に最初の勅許状が与えられ,市場町として発展。農業地帯の集散地で,本土との取り引きでにぎわうほか,プラスチック,木工,製粉,ビール醸造,ミネラルウォーターなどの工場が立地する。人口 2万2957(2001)。

ニューポート
Newport

アメリカ合衆国,ロードアイランド州南東部にある港湾都市。ロード島の南端に位置する。 1639年建設された。最初は商港として栄え,ボストンニューヨークと繁栄を競ったが,アメリカ独立戦争による疎開などで衰退,南北戦争後は避暑地として復活した。大西洋岸には 19世紀後半の豪華な別荘が立並ぶ。 1852年 M.C.ペリーは黒船を率い,日本開国を求めてここから出航した。現在も重要な海軍基地で,海軍工廠兵学校,潜水艦研究所など海軍関係の施設がある。ジャズ音楽祭 (1954~71) ,ヨットレースなどの開催地としても知られる。人口2万 8227 (1990) 。

ニューポート
Newport, Christopher

[生]1565頃
[没]1617.10. 東インド,バンタム
イギリスの船員。初め西インド諸島海域で私掠船活動を行なっていたが,1606年からバージニア会社に入社し,同会社所有船の最初の新大陸への航海を指揮,07年5月 13日ジェームズタウン植民地の建設に参加した。その後何度も大西洋を往復し植民者を運んだが,09年の航海中バミューダ沖で難破した事件は,のちにシェークスピアの戯曲『あらし』 The Tempestの題材となったとされることで有名。

ニューポート
Newport

アメリカ合衆国,ケンタッキー州北境の都市。州境のオハイオ川の対岸はオハイオ州シンシナティである。 1790年に入植が始り,1880年代に大きく発展した。商工業の一中心で,住宅都市でもある。金属,衣料,食品加工などの工業が盛ん。人口1万 8871 (1990) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニューポート」の意味・わかりやすい解説

ニューポート(アメリカ合衆国)
にゅーぽーと
Newport

アメリカ合衆国、ロード・アイランド州南東部、ナラガンセット湾口の都市。人口2万6475(2000)。重要なアメリカ海軍基地を有し、大学、士官学校その他海軍関連施設を多くもつ。歴史的に古く、豊かな自然に恵まれ、とくに夏季は国内有数のリゾート地として知られる。1639年に町が建設、宗教的自由の下にさまざまな宗派の人々が流入し、大きな発展をもたらした。打撃を被った独立戦争のあと、19世紀に入ってから有名人・金持ちの集まる高級リゾート地として脚光を浴び、現在も当時の別荘が多く残される。1950~60年代にはジャズやフォーク・フェスティバルの開催地として有名であった。

[作野和世]


ニューポート(イギリス)
にゅーぽーと
Newport

イギリス、ウェールズ南東部にある都市。セバーン川河口の三角江にウスク川が注ぐ位置にあり、河口港をもつ。人口13万7017(2001)。南ウェールズ炭田の石炭積出し港として産業革命後急速に発展した。今日では南ウェールズやミッドランド地方の工業製品の積み出しと、鉱石や木材の輸入が盛ん。鉄鋼、アルミニウム、錫(すず)などの金属工業が発達する。1839年チャーティスト運動の蜂起(ほうき)があった。

[久保田武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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