ワイト島(読み)ワイトとう(英語表記)Isle of Wight

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワイト島」の意味・わかりやすい解説

ワイト島
ワイトとう
Isle of Wight

イギリスイングランド南部,イギリス海峡北部にある島。単一自治体(ユニタリー unitary authority)。行政府所在地ニューポートハンプシャー県の南岸に沿って位置する菱形の島で,本土とは狭いソーレント水道によって隔てられる。中央部を東西白亜丘陵が延び,その北斜面は古第三紀層に覆われた低地に向かって急傾斜するが,南斜面はゆるやかに傾斜し,島の南端部で再び白亜の高まりをみせ,急崖をなしてイギリス海峡に臨む。青銅器時代の武器や塚を中心に先史時代の考古学的史料に富み,ローマ時代の住居跡もいくつか発掘されている。661年ウェセックス王国併合されたが,のちサセックス王に与えられた。14~16世紀にはしばしばフランス人の侵入に悩まされ,これに対するために沿岸各地に要塞が築かれた。風光と穏やかな気候に恵まれるため観光業が重要で,フレッシュウォーター,ヤーマスライドなどの海浜保養地があり,島の主要港カウズヨット競技の開催地として有名。ほかに果実・野菜栽培,造船,航空機製造などが行なわれる。面積 381km2。人口 14万(2005推計)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワイト島」の意味・わかりやすい解説

ワイト島
わいととう
Isle of Wight

イギリス、イングランド南部、サウサンプトンの南に浮かぶ島。イギリス海峡に面し、面積380平方キロメートル、人口13万2719(2001)。1県(カウンティ)を構成していたが、1995年にイングランドで最初のユニタリー・オーソリティー(一層制地方自治体)となった。行政の中心地はニューポートNewport(人口2万1400、2002推計)。島の中央部を南から北へメディナ川が流れ、その下流部にニューポートが位置する。白亜紀チョーク質の丘が島の中央を東西に延び、西端にニードルズとよばれるチョークの崖(がけ)と岩礁が点在する。北部から東部にかけての海沿いには、カウズ、ライド、ベントナーなどの海岸保養都市が位置する。温和な気候と美しい風景に恵まれ、古くビクトリア時代から観光客でにぎわってきた。ビクトリア女王はカウズ近郊のオズボーン・ハウスに好んで滞在し、そこで生涯を終えている。牧羊業に加え、野菜、果樹の栽培が盛んである。造船、航空機、石材などの工業も立地する。古代ローマの占領後、ジュート人の侵入を受けたが、661年ウェセックス王国に併合、1293年よりイギリス王領。

[小池一之]

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