ヌンムライト(その他表記)Nummulites

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改訂新版 世界大百科事典 「ヌンムライト」の意味・わかりやすい解説

ヌンムライト
Nummulites

大型の有孔虫の一つの属で,第三紀暁新世に出現し,漸新世に絶滅した。外形にもとづいて名づけられた学名(ラテン語nummusは貨幣)の意味するとおり貨幣石とも呼ばれる。ヌンムライトの殻の外形は凸レンズないし円盤形を呈し,初室に続いて多数の室がらせん状に密に巻きながら,平面的に配列する。外面には最後の一巻きの室のみが現れる(包旋回)。各室を仕切る隔壁と殻壁両側面との交わりである縫合線は細い糸状になるので,隔壁フィラメントと呼ばれる。同一種でも,初室が微小な小球形個体と比較的大きい大球形個体とでは殻の大きさに大差があり,前者は大きい。このヌンムライトの二形性の発見が,後に有孔虫における有性生殖世代と無性生殖世代の交代の存在を発見するきっかけとなった。小球形の場合には,時代とともに殻が大型化して,中期始新世には直径10cmに達するものが現れ,その後再び小型化した。隔壁フィラメントも同様に時代とともに変化し,初期には放射状であったのが極限で網目状になり,後にまた単純化した。しかしこのような進化傾向は大球形個体には見られない。ヌンムライトはエジプトピラミッド石材一部に含まれているため,ギリシア時代からその存在が学者たちにより記録されており,建設労働者の落とした豆が石化したものなどという解釈がされたというエピソードを残している。古第三紀の温暖な浅海域に堆積した地層中に広く分布する示準化石で,日本でも天草諸島琉球諸島小笠原諸島から知られている。
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