古第三紀(読み)コダイサンキ(英語表記)Paleogene period

デジタル大辞泉 「古第三紀」の意味・読み・例文・類語

こ‐だいさんき【古第三紀】

新生代第三紀の前半で、6500万年前から2400万年前まで。古いほうから暁新世始新世漸新世に分ける。哺乳類は大型化し、被子植物繁茂した。貨幣石は、この時代の示準化石

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「古第三紀」の意味・読み・例文・類語

こ‐だいさんき【古第三紀】

  1. 〘 名詞 〙 地質時代、新生代第三紀の暁新世・始新世・漸新世の三つの時代を合わせたもので、六五〇〇万年前から二五〇〇万年前までの約四〇〇〇万年間をいう。気候は温暖で、高緯度地方にも亜熱帯植物が繁茂。巨大爬虫類が絶滅し、有袋類、哺乳類が栄える。標準化石有孔虫類貨幣石。旧第三紀。貨幣石紀。ヌムライト紀。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「古第三紀」の意味・わかりやすい解説

古第三紀
こだいさんき
Paleogene period

地質時代の時代区分の一つで、新生代の最初の紀であり、暁新世(ぎょうしんせい)、始新世、漸新世の三つをあわせた時代の総称。およそ6600万年前から2303万年前までの時代をいう。古第三紀に形成された地層を古第三系という。気候は比較的温暖で、堆積(たいせき)物は石灰岩質に富む、ヒマラヤアルプスなど世界の大山脈が造山期へと転化した時期にあたる。生物地理区分化はまだなく、生物は汎(はん)世界的に分布するものが多い。現生の生物と共通する種はきわめて少ない。植物界では、中生代白亜紀に繁栄し始めた被子植物の発展が目だつ。海生の底生大形有孔虫ヌムリテスNummulitesが繁栄した時代で、ヌムライト紀ともいう。

[山口寿之 2015年8月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「古第三紀」の意味・わかりやすい解説

古第三紀 (こだいさんき)
Palaeogene period

地質時代の区分の一つ。古第三紀は6500万年前から2500万年前までの約4000万年間の時代で,この後に続く新第三紀と合わせた時代を第三紀という。すなわち一般には第三紀を二分した亜紀として扱われるが,独立の紀であるとする見解もある。古第三紀は新第三紀との動物群の著しい差異をもとに,C.F.ナウマンによって提唱された(1866)。この時代は大型有孔虫ヌンムライト(貨幣石)の化石が多いため,フランスなどでは貨幣石紀と呼ぶ。古第三紀は古いほうから,暁新世,始新世,漸新世に三分され,暁新世と始新世の境界は5500万年前,始新世と漸新世の境界は3800万年前とされる。古第三紀は原始哺乳類の時代で,現在みられる哺乳類の多くのグループの祖先型が出現した。暁新世には霊長類が,始新世の初めには海牛類,長鼻類,偶蹄類奇蹄類などが出現したが多くは小型であった。大型で古第三紀独特の奇蹄類の雷獣(ブロントテリウムなど)などもいた。植物では被子植物の全盛期に入り,北半球では,カエデ,ブナ,シュロなどが多かった。古第三紀の気候は全体に温和で,とくに始新世には現在の温帯林が北極海沿岸に,亜熱帯林が北ヨーロッパや北海道まで広がっていて,著しい温暖期であった。始新世はまた大海進の時代で,この時代の地層は世界各地,とくにロンドン・パリ盆地,西シベリア平原,アルプス・ヒマラヤ地帯,およびその南の北アフリカ・アラビア半島地域,北米大陸沿岸域,アマゾン盆地などに広く分布する。日本でも,九州中西部,常磐,石狩,釧路などの炭田地帯で,石炭をはさむ陸成層と浅海成層が厚く分布する。また西南日本太平洋岸では,外洋性の厚い始新統と漸新統が広く分布する。始新世中ごろから南極大陸に大陸氷河の形成が始まり,気候は徐々に寒冷化に向かう。漸新世は世界的な海退期で,この時代の地層が欠落している地域が多い。また漸新世後半からそれまでずっと広い海域(テチス海)だったアルプス・ヒマラヤ地帯で造山運動が始まり,これによって現在の地球上の海陸分布の概形がほぼきまった。
地質時代
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「古第三紀」の意味・わかりやすい解説

古第三紀【こだいさんき】

第三紀前半の地質時代名。古い方から暁新世始新世漸新世に細分される。貨幣石が栄えたので,貨幣石時代ともいう。真正哺乳(ほにゅう)類(有胎盤類)が急激に発展するが,まだ原始的。アルプス造山運動はこの紀を中心とする。
→関連項目石炭第三紀

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古第三紀」の意味・わかりやすい解説

古第三紀
こだいさんき
Paleogene Period

地質時代の年代区分の一つで,新生代の最初の暁新世始新世および漸新世に分かれる。白亜紀より新しく,新第三紀より古い時期で,約 6600万年前から約 2303万年前までの期間。ウマやゾウの祖先が出現し,真生哺乳類の発展,大型化がみられる。この時期の地層区分や時代の決定は,浮遊性有孔虫や貨幣石(ヌムリテス)によって行なわれることが多い。日本では貨幣石は小笠原と九州にしか産出しない。地層の分布は比較的狭く,北海道,常磐,宇部,北九州などに分布する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の古第三紀の言及

【第三紀】より

…第三層はそれらをおおう軟らかい泥岩や砂岩の地層で,この時代が第三紀である。第三紀は,ふつう6500万年前から2500万年前までの古第三紀と,2500万年前から200万年前までの新第三紀の2亜紀に区分される。また,古第三紀は古い方から暁新世,始新世,漸新世に,新第三紀は中新世,鮮新世に細分されている。…

※「古第三紀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android