貨幣石(読み)カヘイセキ(その他表記)Nummulites

デジタル大辞泉 「貨幣石」の意味・読み・例文・類語

かへい‐せき〔クワヘイ‐〕【貨幣石】

新生代始新世・漸新世に生息した有孔虫一群。殻は石灰質の円盤状で、内部は渦巻き状となり、多く小室に分かれている。ヌンムライト

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精選版 日本国語大辞典 「貨幣石」の意味・読み・例文・類語

かへい‐せきクヮヘイ‥【貨幣石】

  1. 〘 名詞 〙 原生動物門の高等有孔虫類化石。新生代古第三紀示準化石とされる。レンズ状または円盤状にまいた石灰質の殻をもち、外観貨幣に似ている。貨幣虫。ヌンムリテス。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貨幣石」の意味・わかりやすい解説

貨幣石
かへいせき
Nummulites

大形有孔虫(高等有孔虫)の一グループ。ヌムリテスともいう。殻(から)の外形、大きさが貨幣(コイン、ラテン語の鋳貨numismaに由来する)に似ることからこの名がある。外形は円盤状ないし凸レンズ状である。内部は多くの室に分かれ、それらが平面上で、先に形成された渦巻状の室の列を、次にできる渦巻状の室の列が包むように配列している。室間の隔壁縫合線はさまざまな模様をつくり、隔壁フィラメントとよばれる。また、殻には、脈管系とよばれる管状の構造が発達する。殻が小さくて、最初に形成される室(初室)が大きい顕球型と、殻が大きくて初室がきわめて小さい微球型の同一種内の二形性が認められる。前者は1センチメートル以下のものが多いが、後者は10センチメートルに達するものもある。世界各地の新生代古第三紀の地層より産出し、地層を対比するうえでの重要性は古くから指摘されている。日本では、小笠原(おがさわら)諸島の母島や九州の天草島から産するものが有名である。

[谷村好洋]


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百科事典マイペディア 「貨幣石」の意味・わかりやすい解説

貨幣石【かへいせき】

ヌンムリテスとも。高等有孔虫の一化石属。殻は石灰質で,直径数mm〜10cmにも及び,貨幣に似た円盤状。中は無数の細かい室に規則正しく分かれる。古第三紀世界中暖海に栄え,よい示準化石とされる。
→関連項目有孔虫

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改訂新版 世界大百科事典 「貨幣石」の意味・わかりやすい解説

貨幣石 (かへいせき)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貨幣石」の意味・わかりやすい解説

貨幣石
かへいせき

「ヌムリテス」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の貨幣石の言及

【ヌンムライト】より

…大型の有孔虫の一つの属で,第三紀暁新世に出現し,漸新世に絶滅した。外形にもとづいて名づけられた学名(ラテン語nummusは貨幣)の意味するとおり貨幣石とも呼ばれる。ヌンムライトの殻の外形は凸レンズないし円盤形を呈し,初室に続いて多数の室がらせん状に密に巻きながら,平面的に配列する。…

※「貨幣石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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