日本大百科全書(ニッポニカ) 「ねじり試験」の意味・わかりやすい解説
ねじり試験
ねじりしけん
twist test
torsion test
材料試験の一種で、材料のねじりに対する強さや、ねじり変形に対する抵抗を調べる。引張り試験ほど一般に普及していないが、剪断(せんだん)抵抗に関する材料特性の測定に適しており、専用のねじり試験機が用いられる。試験片としては丸棒や円管状のものをそのまま用いることもあるが、精密な測定を行うには、中央部に円形断面の平行部をもち、両端を太くして試験機に取り付ける。試験は、試験片の一端を固定し、他端をねじって、ねじりモーメントとねじれ角を測定し、剪断弾性係数、ねじり降伏点、ねじり強さ、破断までの全ねじれ角などを求める。ねじり試験の一つの特徴は、引張り試験では局部的なくびれが生じて正確な材料特性が得られないような大きな変形の範囲まで比較的容易に取り扱えることである。金属材料の加工性に関する試験や、塑性変形の理論的研究の分野では、ねじり試験が広く利用されている。
[林 邦夫]