ネストル(読み)ねすとる(英語表記)Nestor

翻訳|Nestor

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネストル」の意味・わかりやすい解説

ネストル
ねすとる
Nestor

ギリシア神話のピロス王。アガメムノンアキレウスの間を調停するなど、血気盛んな諸将の仲裁役として本領を発揮した。父オデュッセウスの行方を尋ねるテレマコスを歓待して懐旧談を語ったり、おりに触れて2人の息子とともに参戦したトロヤ戦争の自慢話に興ずるなど、人間の三代を生きたお人好しの老将として、ホメロスではかなり好意的に描かれている。親しみやすい人物像のゆえか、アルゴナウタイ遠征やカリドンの猪(いのしし)狩りに参加したなど、後世にはさまざまなエピソードが創作された。

[伊藤照夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネストル」の意味・わかりやすい解説

ネストル
Nestor

ギリシア神話の英雄ネレウスの子で,父の跡を継ぎ,ピュロスの王となり,アポロンから常人の3倍の寿命を与えられ,トロイ戦争にギリシア方の最長老として,息子のアンチロコスとともに 90艘の船団を率いて参加し,アガメムノンメネラオスのよい相談相手として重要な貢献をした。アンチロコスはメムノンに打取られたが,ネストル自身は,トロイの陥落後,無事帰国し,ピュロスを平和のうちに統治し続けたとされる。

ネストル
Nestor

[生]1056頃.キエフ
[没]1113.10.27. キエフ
ロシアの修道士,年代記編者。古代ロシア年代記傑作といわれる『過ぎにし歳月物語』 Povest' vremennykh let (『原初年代記』) の編纂者とみなされている。

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