ネレウス(その他表記)Nēreus

デジタル大辞泉 「ネレウス」の意味・読み・例文・類語

ネレウス(Nēreus)

ギリシャ神話海神ポントスガイアの子。賢明・温和で、また、予言の力をもつ。船乗り守護神とされた。ネーレウス。

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精選版 日本国語大辞典 「ネレウス」の意味・読み・例文・類語

ネレウス

  1. ( [ギリシア語] Nēreus ) ギリシア神話の海神、特にエーゲ海の海神。ホメロスが「海の老者」と名づけた。

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改訂新版 世界大百科事典 「ネレウス」の意味・わかりやすい解説

ネレウス
Nēreus

ギリシア神話の海神。ポントス〈海〉とガイア〈大地〉の子。気質がやさしく賢明な老人で,同じく〈海の老人〉と呼ばれるプロテウスのように,予言の力と自分の姿をさまざまなものに変える力があった。彼にはオケアノス大洋〉の娘ドリスDōrisとのあいだにもうけた50人(または100人)の美しい娘たち(ネレイデスNērēidesと呼ばれる)があり,ふだんは海(とりわけエーゲ海)の底で,その娘たちに囲まれて日を送るとされた。ネレイデスのなかでは,海神ポセイドンの妃となったアンフィトリテ,英雄アキレウスの母となったテティス,単眼巨人キュクロプスのポリュフェモスに恋されたガラテイアなどが有名。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネレウス」の意味・わかりやすい解説

ネレウス
ねれうす
Nereus

ギリシア神話の海神。ガイアの子。ホメロスでは「海の老人」とよばれている。温和な親しみやすい性格で、しかも預言力をもち、また自由にその姿を変えることができた。ヘスペリデス黄金リンゴを求められたヘラクレスが(第11番目の功業)、ヘスペリデスの国への道をネレウスに教えさせようとしたとき、ネレウスは姿をさまざまに変えて逃れようとした。しかしヘラクレスがどうしても離そうとしないので、ネレウスはついにその道を教えてやったという。海の主神ポセイドンとは異なり、穏やかな日和(ひより)の海を表すネレウスは、50人の娘たちネレイスとともに海底宮殿で暮らしている。

[伊藤照夫]

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百科事典マイペディア 「ネレウス」の意味・わかりやすい解説

ネレウス

ギリシア神話の海神。穏和で賢明,予言と変身能力をもつ〈海の老人〉。その娘たちをネレイデスといい,アンフィトリテ,テティス,ガラテイアらが有名。
→関連項目プロテウス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネレウス」の意味・わかりやすい解説

ネレウス
Nereus

「海の老人」とあだ名されるギリシア神話の海神。海ポントスがガイアと契ってもうけた子供たちの長子で,オケアノスの娘ドリスと結婚し,ネレイデスと呼ばれる 50人の美しい娘たちを得たとされる。予言と,あらゆるものに姿を変える変身の能力をもつと信じられた。

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世界大百科事典(旧版)内のネレウスの言及

【アテネ】より

…崩壊した諸王国の住民が大挙してアッティカ領域内に移動して,この地方の人口が異常に増大した。そして伝承によれば,在来のアテネ王家に代わって,ピュロス王家のメラントスMelanthosという移住者がアテネ王となり,その孫の一人ネレウスNēleusは膨張したこの地の住民の一部を率いて,海路イオニアに植民し,他の一人メドンMedōnはアテナイの王位を引き継いだという。メドンの血統をひく人々すなわちメドン家が以後,暗黒時代のアテナイを指導するが,その初期にすでに王政のあり方に重大な変化が生じていたらしい。…

【ミレトス】より

…小アジアのエーゲ海沿岸に建設された古代ギリシアのイオニア諸市の中で,最も南に位置した主要都市。伝説では最初クレタ人あるいはカリア人によって建設され,イオニア植民市としては,アテナイ王コドロスKodrosの子ネレウスNēleusがカリア人の手から奪取して,前11世紀に建設したという。前8世紀ころより海上交易を盛んに行い,前7~前6世紀に黒海沿岸とその付近にキュジコス,パンティカパイオン,オルビアなど多数の植民市を建設した。…

【海】より

… ギリシア神話によれば,海ポントスは大地女神ガイアの息子だが,母と交わって多くの子孫を得た。その中の長子が,〈海の老人〉とあだ名される非常な知恵者で年寄りの海神ネレウスで,あらゆるものに自在に変身する能力をもち,ネレイデスNērēidesと呼ばれる50人(または100人)の美神たちの父親である。海の支配者は最高神ゼウスの兄弟のポセイドンで,武器としても漁具としても使われる三つ股の矛を持ち,地震や津波の神としても恐れられた。…

※「ネレウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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