日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネレウス」の意味・わかりやすい解説
ネレウス
ねれうす
Nereus
ギリシア神話の海神。ガイアの子。ホメロスでは「海の老人」とよばれている。温和な親しみやすい性格で、しかも預言力をもち、また自由にその姿を変えることができた。ヘスペリデスの黄金のリンゴを求められたヘラクレスが(第11番目の功業)、ヘスペリデスの国への道をネレウスに教えさせようとしたとき、ネレウスは姿をさまざまに変えて逃れようとした。しかしヘラクレスがどうしても離そうとしないので、ネレウスはついにその道を教えてやったという。海の主神ポセイドンとは異なり、穏やかな日和(ひより)の海を表すネレウスは、50人の娘たちネレイスとともに海底の宮殿で暮らしている。
[伊藤照夫]
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