時宜(読み)じぎ

精選版 日本国語大辞典 「時宜」の意味・読み・例文・類語

じ‐ぎ【時宜】

〘名〙 (「しぎ」とも)
① 時がちょうどよいこと。時間的な時期、機会を意味するほか、一般に、その時の物事状況、状態、条件などをさしていう。時儀。時議。時義。「時宜に適(かな)う」
※三代格‐一・弘仁格序(830)「上遵叡旨、下考時宜
平治(1220頃か)中「平家に与みせんと、時宜をはかるとおぼゆるぞ」 〔漢書‐百官表〕
② ときの権力者の政治的・法的な意志・判断を示すことば。本来は「時議」。とくに室町時代では将軍の意志を表現する場合が多い。
※玉葉‐治承三年(1179)二月一〇日「執政室為乳母之例、古今未有、随時宜始例歟」
③ (━する) 時にかなった挨拶(あいさつ)をすること。礼儀にかなった挨拶の仕方・作法辞儀。時義。
大乗院寺社雑事記‐文明二年(1470)八月一四日「先日合戦に、高山は捨兵具、以外時宜也」
甲陽軍鑑(17C初)品四〇下「人の時宜(ジキ)するに、此方より、時宜せざるは、大非儀にて候」
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉上「べったり坐って時誼(ジギ)を述べる」
※俳諧・西鶴大句数(1677)四「いらぬかまじしや浮名立風呂 執心は残らぬ残らぬ時冝はなひ」
連句の付け方の一つ。支考の説いた七名八体の中の一つ。その世、その時の風俗にかない、かつ、その座、その折の時の宜しきにかなう付け方をいう。〔俳諧・俳諧古今抄(1730)〕

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デジタル大辞泉 「時宜」の意味・読み・例文・類語

じ‐ぎ【時宜】

時がちょうどよいこと。適当な時期・状況。「時宜を得た発言」「時宜にかなった企画
時にかなったあいさつ。時儀。
「べったり座って―を述べる」〈紅葉・二人女房〉
[類語]時機機会チャンス好機時節頃合い頃おいときおり機運潮時しおどき潮合い機宜好期適期時分時分どき商機勝機戦機千載一遇タイミングめった得難いまれかけがえのない希有けう盲亀もうき浮木ふぼく一期一会いちごいちえ見せ場決め所思いがけない思いがけず待てば甘露の日和ひよりあり折よく僥倖ぎょうこうここぞ一世いっせ一代最初で最後図らずも決定的瞬間契機

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普及版 字通 「時宜」の読み・字形・画数・意味

【時宜】じぎ

時勢によく対処する。〔漢書、哀帝紀〕待詔夏賀良等、改元易號を言したるも、~卒(つひ)に嘉應無し。皆經にひ古に背き、時宜に合はず。

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