ねんきん定期便(読み)ネンキンテイキビン

デジタル大辞泉 「ねんきん定期便」の意味・読み・例文・類語

ねんきん‐ていきびん【ねんきん定期便/年金定期便】

公的年金の加入記録本人が確認するために、現役世代(保険料を負担する世代)の加入者全員に送付される通知書。加入者の誕生月に毎年送付される。平成21年(2009)4月に社会保険庁が送付を開始。現在は日本年金機構が送付。→ねんきん特別便
[補説]初回および35歳・45歳・58歳時の送付分には詳細な加入履歴と年金見込額が記載され、それ以外の送付分は直近1年分の加入履歴や年金見込額など概略的な記載となる。記録に漏れや誤りがある可能性がある場合はオレンジ色封筒、それ以外は空色の封筒で送付される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ねんきん定期便」の意味・わかりやすい解説

ねんきん定期便
ねんきんていきびん

社会保険庁(2010年から日本年金機構)が国民年金厚生年金の加入者の誕生月に毎年郵送する年金の加入状況などを記載した書類。これまでに納付した保険料額やこれに基づく年金の見込み額などが記載されている。2009年(平成21)4月スタート。送付開始初年度と、加入者が35、45、58歳の時点では保険料や見込み額のほかに、過去のすべての期間について、毎月どの程度の給料標準報酬月額)があったか、それに基づいてどの程度の保険料を払ったかなど詳細な情報を通知する。2004年の年金制度改革の際、公的年金に対する国民の信頼を高めるために、加入者への情報開示が必要とされ、導入が決まった。加入状況について、通知の記載が間違っていれば訂正を求める機会にもなる。

 ねんきん定期便に先だち、社会保険庁は2007年からねんきん特別便を原則全国民に送付している。宙に浮いた5000万件の年金記録問題が発覚するなど、ずさんな管理で年金の加入記録が間違っている例が相次いでいることがわかった。このため、これまでの加入記録を加入者・受給者に送り、確認してもらおうとしたのが特別便である。記録確認がおもな目的だったため、特別便のほうには年金の見込み額などは記載されていない。

[編集部]

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知恵蔵 「ねんきん定期便」の解説

ねんきん定期便

年金記録を定期的に確かめられるよう、2009年4月から社会保険庁が国民年金・厚生年金の現役加入者に送るもの。(1)これまでの年金加入期間、(2)具体的な年金加入履歴、(3)年金見込み額、(4)これまでの保険料納付額、(5)国民年金保険の納付状況、(6)厚生年金保険の標準報酬月額と保険料納付額が記されており、07年12月~08年10月にすべての現役加入者と受給者に送られた「ねんきん特別便」より詳しい内容である。毎年誕生月に送られるが、次回以降は、過去すべての納付状況は35歳、45歳、58歳の人だけに届き、それ以外の人には(1)(3)(4)と、直近1年分の(5)(6)が伝えられる。定期便はA4判の封筒で送られ、オレンジ色と水色の2種類がある。オレンジ色の封筒は、「宙に浮いた年金記録」から本人のものの可能性が高い記録が見つかったが特別便に回答していない、もしくは「訂正無し」と回答した人や、標準報酬月額が改ざんされている可能性が高い人、に送られる。4月に発送するのは557万通で、このうちオレンジ色の封筒は24万通に上る。水色の封筒が届く場合は問題がある可能性は低いが、内容の確認することが望ましい。問い合わせ先は「ねんきん定期便専用ダイヤル」電話番号0570・058・555(IP電話PHSからは電話番号03・6700・1144)。
 もっとも、受給者が誤りに気づいて訂正を求めても正しい年金額が支払われるまで平均で1年以上かかる上、年金記録確認第三者委員会が訂正を認めたのは35%にすぎず、「審査基準が厳格過ぎる」との指摘も出ている。「宙に浮いた年金記録」は5000万件ある上,そのうち、住民基本台帳ネットワークで名前や住所が判明したにもかかわらず本人に知らされなかった記録が約311万件に上ることが判明するなど、消えた年金問題が収拾する見通しは立っていない。

(北健一 ジャーナリスト / 2009年)

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